CANON EOS 7D MarkⅡ(以下、7D2と略称)は秒10コマという高速連写の能力が売りのカメラです。
ぶっつけ本番ではありますが、ここでその連写の威力を試したくなるのは当然です。
確かに7D2は、被写体を合焦ポイントに持ってこられれば、素早くAFを合わせ連写してくれるのですが、超望遠レンズで、飛ぶコミミズクを選んだAFフレームに捉え続けられるかが問題です。そこは撮影者の技量が問われます。
コミミズクはそんなに超高速ではないのですが、一直線に飛び続けるのではなく、ぐるっと大きく縄張りを回るというのが基本で、近くなったり遠くなったり、途中でよく方向転換し、急旋回や急降下、急減速を繰り返すので、連続して大きな姿で捉え続けるのはなかなか難しいです。
「大特集! コミミズク再び (前編) ~飛翔姿を撮る」に挙げた写真のように一枚ものなら、飛翔写真であっても、何枚も連写してその中から合焦した写真をセレクトすれば良いのです。ただ、連続コマ写真でピタッと合焦したものを並べるとなると難易度が増します。
ということで、連続コマ写真にトライしてみた結果を御覧下さい。
↓まずは、左から右への飛翔の連続写真3枚



4枚目は合焦ポイントを外してしまいピンボケ写真となってしまいました。ちょっと目と手が追いつかない。
残念、もう少し長くピントの合った写真を撮り続けたいところです。
そこで、次は遠くを飛ぶところなら行けるかなと・・・
↓少し遠くを斜めに右から左へ近づいてくる飛翔の連続写真4枚




うーん、4枚目はちょっと1拍置いてしまったので、厳密には連続していません。それに遠いなあ・・・
よーし、今度こそはと、近場を飛ぶ時を狙って・・・
↓右から左への飛翔の連続写真4枚




ちょっと慣れてきたので、なんとか4枚連続でピントを合わせることができました。
そして最後は、止まり木から飛び立つ瞬間を狙って撮影したものですが、これは近い場所ですので、5枚ほど追い続けることができましたが、その後はフレームアウトしました。
↓飛び立つ瞬間からの連続写真5枚





↑止まり木から飛び立つ際は、道を挟んで観察してる人間のほうではなく、必ず草原の方向へ飛び立ちます。したがって、どうしても後ろ姿になります。
以下、 7D2のAF機能に関するマニアックな話です ----興味のない方は読み飛ばしてください----
7D2は、AF関連の設定が非常に豊富ですが、複雑すぎて分かりにくいとも言えます。
まず、AF動作は、飛翔写真の場合は間違いなくAIサーボAF(オリンパスでいうところの追尾AF【C-AF+TR】)です。捉えた被写体にAFを合わせ続けてくれます。
問題はAFメニューと測距エリア選択モードの組み合わせです。私が検証した内容を順番に細かく書くと煩雑で冗長になるので省きますが、結論を述べると「カメラ側に複雑な判断を任せ過ぎるとわずかに反応が遅れ、思うように行かない確率が増す」ということです。
いろいろ試した結果、サーボAFメニューはCase1で被写体追従特性パラメーターを1ポイント増加させ、測距エリア選択モードは領域拡大(上下左右)にする組み合わせが、私の技量では一番使いやすいと感じました。

静止した小鳥が被写体であれば非常に狭い範囲で合わせるスポット1点AFが良いのですが、飛翔するコミミズクの場合にスモールターゲットAFでは測距点が小さすぎてかえって外します。非常に視力が優れ反応の良い方なら大丈夫でしょうが、普通の人には難しいです。
また、大型の動く被写体(飛行機、列車、人間など)の場合は、最初選択したターゲットを広いエリアで追尾し続けてくれる61点自動選択AFも結構有効に働きます。しかし、コミミズクでは無理でした。(後日確かめたのですが、アオサギのような大型で動作がやや遅い野鳥ならEOS初のラージゾーンAFでも行けました)
コミミズクのような中型で遠近に動く変化に富んだ被写体の対応は微妙です。自分の力量との組み合わせた相性判断が必要で、そうなると実践で確かめていくしかありません。
サーボAFメニューのCase1は万能対応ですので、まずそこにセットして、測距エリア選択モードのほうは測距エリア選択レバーでダイレクトに変化させながら被写体の動き・大きさ・距離に自在に対応していくのが良いと思います。(測距エリア選択レバーのダイレクト操作化には設定メニューでボタンのカスタマイズが必要)
メニューのAFタブで、AFカスタム設定プリセットCase1~6を選べますが、さらにRATEボタンで被写体追従特性などのパラーメーターも細かくセットできます。もっとも、その各パラメーターの細かい増減効果まで現場で検討する余裕はありませんでした。
設定はまだ完璧には検証できていませんが、7D2のおかげで以前は不可能であった写真が、私にも撮れるようになったことも確かです。とはいえ、後景にピントが合ってしまうピンボケ写真は量産しました(汗)
ジンバル雲台、レンズのIS機能、高ISOの威力で、手ぶれ写真は思ったより少なかったです。
とにもかくにも、いろいろ試すことが出来たコミミズクさんでした。
以上述べたことは、7D2と100-400L2の組み合わせでの検証結果です。
つまり、7D2のAF機能は素早く反応できるAFレンズとのコンビで有効になります。いくら7D2が高速連写番長だといってもレンズがジーコブラザーズ(遅いAFレンズ)では実力を発揮できません。
↓私のゲットした中古7D2。本体は新品同様でしたがストラップが無かったのでワインレッドのものを装着しました。

ちょっとご質問があったので書きますが、7D2を中型中量機としたのは、あくまで野鳥撮影の場合の私の個人的なイメージです。
私は、普段の取材撮影はオリンパス機(OM-D E-M1)を使用しています。小型軽量で良く写るからです。
このオリンパス機で90%の被写体はじゅうぶんに撮影できますが、あとの10%が問題です。
そのひとつは夜間スナップなどの高感度撮影で、それには EOS 6D で対応しています。
残された課題は、飛翔などの動体の撮影で、この場所に 7D2 がピタリと収まるのです。
連写だけなら OM-D E-M1 でも可能なのですが、動体撮影となると私の拙い腕とオリンパス機ではどうも相性が悪く難しいのです。多分、オリンパス機のAFのアルゴリズムが私に合っていないでしょう。
野鳥撮影の場合の小型軽量機というのは、私の所有する OM-D E-M1 と M.ZUIKO 75-300mm II の組み合わせで、ピストルををイメージしています。ピストルですので手持ちですね(笑)。いろいろ歩き回って探りながら、止まっている野鳥を撮影するのには最適です。
中型中量機というのは、私が今回導入した 7D2 と、EF100-400mm F4.5-5.6L IS II の組み合わせで、機関銃をイメージしています。このコンビは短時間なら手持ち撮影が可能ですが、ずっと振り回し続けるのは辛いです。中型三脚と自在に動く雲台があればベターです。
機関銃には軽快な台座が必要ですが、それにあたるのが小型ジンバル雲台です。私は軽く上下左右に動かせる ジョブデザインJr.3ジンバルキット を愛用しています。このジンバル雲台は、7D2中型中量機コンビに最適で、仰角撮影とアーム左右に悩むBORG より相性が良さそうです。
最後に大型重量機は大砲のイメージですが、これは重い超大型の三脚・雲台に、ニコンやキヤノンのフラッグシップ一眼レフと超望遠レンズの組み合わせのことです。
私の撮影方法では、この大砲装備は機動性に欠けることになるので縁がないでしょうが、経済的・体力的にも無理な話です(汗)
さしずめ、キヤノンであれば、EOS-1D X に EF600mm F4L IS II あるいは EF800mm F5.6L IS になるでしょうか。
でも、コミミズクを撮った場所では、こうした大砲群がずらりと並んでいました。壮観でしたね。
↓7D2の信頼のダブルスロット。CF+SDの二つのメディアが差し込め、二重記録やRAWとJPGの振り分け記録が出来ます。メディア不良事件の苦い経験のある私にはこれが有難いですね。

↑左上隅の二重丸のボタン(マルチコントローラー)の周囲にある上部の突き出たレバーが、上記で説明した測距エリア選択レバーです。これは、ファインダーを覗いたまま親指でダイレクト操作できるので重宝しています。
私は親指AFは使わないので、ファインダーを覗いている際は、親指はサブ電子ダイヤルの露出補正か、測距エリア選択レバーを動かすことに使います。
人差し指は基本シャッターボタンに置いておき、必要に応じてメイン電子タイヤルを動かし、シャッタースピードか絞り値を変化させることに使います。
このあたりは、EOSの伝統的なオペレーションです。
つまり接眼したまま、被写体の大きさ・距離や光線具合に応じて、AF・AE等の動作をいかにスピーディーに最適化するかというのが、動体撮影時のポイントになります。
なお、7D2のインテリジェントビューファインダーIIは、情報量が豊富なのですが、表示が多すぎて邪魔になることがあります。そのため、カスタマイズ機能により、自分にとって不要な情報表示はあらかじめ消しておけば見やすくなります。
最後に、感度については、7D2の場合ISO3200まで私的には許容できる画質なので、動体撮影の場合はあらかじめISO3200をISOオートの上限に設定しておき、ISO選択はカメラに任せて、被写体の動きに集中し撮影しています。
