模糊の旅人
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2018年 06月 03日 ( 1 )
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2018年 06月 03日 |

今回は、マルタ考古学博物館の最終回で、フェニキア人遺跡とコインコレクション です。


紀元前1000年頃、現レバノン方面から渡ってきたフェニキア人がマルタを支配します。この時代の遺物も三階奥に展示されており、その特徴的な品物に驚かされます。中でもアルファベットの起源となったとされるフェニキア文字の石碑は貴重なものです。


↓フェニキア文字の石碑文

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フェニキア語は北セム語系です。いっぽう、フェニキア文字は、ギリシア文字のルーツとなり、やがてアルファベットとなります。後のヘブライ文字やアラビア文字の元になったのはもちろんですが、ブラーフミー文字を介してインドやチベット・モンゴル・東南アジアの諸文字へと変化したと考えられます。


有力な説によると、今日世界で使われている全ての文字体系のうち、ほとんどがフェニキア文字を起源としており、漢字とその派生文字体系(日本語など)のみが別の独立の起源を持っているとされます。ハングルはフェニキア文字系や漢字系を参照して新造創出された文字なので両系の子孫ともいえます。(滅んだ完全独立発生文字としてはシュメール文字やマヤ文字など)


↓フェニキア碑文の説明

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フェニキア人は、謎の多い民族で、現在のレバノン~イスラエルあたりが出自と思われます。いわゆるカナンの地の一画を占めていました。(先祖は紅海あるいは小アジアに住んでいたともいわれる)
紀元前15世紀頃に都市国家を築き、やがて、レバノン杉で造った船で地中海世界全域に進出し、イベリア半島から北アフリカ西岸までに至り、交易活動によりアルファベットなどの古代オリエント文明を地中海世界に伝えました。
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やがて、フェニキア本土はアッシリアやアケメネス朝ペルシアに服属し、アレクサンドロス大王により滅ぼされました。しかし、現チュニジアに築かれた植民都市カルタゴは、西地中海世界の中心として長く繁栄し、初期の共和制ローマと覇を競いました。マルタ島は、カルタゴのすぐ近くなので、紀元前1000年頃からフェニキア人に支配されたようで、遺跡が発掘されています。


↓フェニキア人は裕福だったようで、豪華な金の装飾品などが出土しています。下は黄金製でアヌビス神か?

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フェニキア人は滅亡し(ローマに徹底的に破壊され)たため遺跡は少ないのですが、マルタには比較的残されています。フェニキア人を埋葬した木棺も発見されており、エジプト文明の影響も感じさせる興味深いものです。

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マルタは、フェニキア人以降、ローマ、ヴァンダル、ビザンチン、アラブ、ノルマン、スぺインなどの支配を受け、やがてマルタ騎士団の城塞国家となりました。その後、近世もナポレオンのフランスや、イギリスの支配下になり、1964年英連邦王国のマルタ国、最後に1974年マルタ共和国として完全独立を果たします。2004年EUに加盟(現在の公用語はマルタ語と英語で通貨はユーロ)

ちなみに、現在のマルタ語は、アラビア語系の口語を基礎としてシチリア語やイタリア語などの語彙が多く取り入れられたクレオール的な混合言語です。ヨーロッパ圏唯一のアフロ・アジア語族 - セム語派の貴重な言語といえます。

あくまで私見ですが、マルタ人にはフェニキア人に支配された時期にセム語系の言葉が根付き、ローマやビザンチン時代には支配者の言語は広がらなかったようです。それより、アラブ支配の時代には農業関係や庶民の生活が変革されアラビア語(口語)が普及し、そこにマルタ騎士団時代のロマンス語系の語彙が取り入れられマルタ語が成立したと思います。
また、それとは全く別物として、イギリス支配時代に英語が広がったのです。現在ではイギリス以外ではヨーロッパでは非常に貴重な英語圏で、日本人の英語留学先として人気があります。


そうした、長く複雑な歴史時代の流れを感じさせるものとして、考古学博物館にはコインのコレクション特別展示室があります。歴史を反映した各種の貨幣が見られ、特に各ローマ皇帝の顔が刻まれたコインがずらりと揃っており、マニアには垂涎の的です。

約16000枚以上のコインがあるそうです。


↓展示室

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↓ローマ皇帝コインのアップ  いわゆるセステルティウス硬貨ですね。

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↑上から第3代カリギュラ帝、第4代クラディウス帝、第5代ネロ帝など、すべて揃っています。


↓硬貨コレクションの説明

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ローマ支配からは歴史時代に入り、考古学博物館の範疇をこえるので展示されていません
したがってコインはあくまで、特別展示という位置づけですが、常設展示だそうです。


最後に小さなミュージアムショップ的なコーナーを見学し、スリーピングレディの銀製品に見入りました。
記念品を少しだけ買って、博物館を出ました。

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小さいながら充実した博物館で、マルタの古代世界を満喫した半日でした。
写真撮影が可能で、ネットでの発信や旅行サイトでの公開も「どんどん宣伝してください」と快く許可いただき、とても好感の持てるミュージアムでした。取材協力いただいた職員の方に深く御礼申し上げます。





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