模糊の旅人
mokotabi.exblog.jp
  Top ;Log-in
サファリーン広場からタンネリへ・・・フェズ旧市街散策(後編) ~モロッコ紀行(9)
2018年 01月 16日 |

モロッコ史の続きです。
マリーン朝は200年強も続き(1248-1465年)、首都のフェズはモスクや神学校が整備され、モロッコの政治経済文化の中心となりました。
最盛期には現チュニジアからイベリア半島南部までを支配し、文化の面でも大社会学者イブン・ハルドゥーンや大旅行家イブン・バットゥータ(『三大陸周遊記』が有名)が活躍しました。


やがて爛熟したマリーン朝は弱体化し、フェズの住民暴動により滅亡します。預言者ムハンマドの末裔を名乗るシャリーフ政権が短期間成立し、その後、マリーン朝近縁のワッタース朝がフェズを首都として15世紀末から16世紀半ばにかけて支配しますが、その領域はモロッコ北部に限られ、南部は聖者主義のシャリーフやスーフィー(イスラム神秘主義)が地域豪族と結びつき跋扈します。


そうしたシャリーフ系の南部豪族の中から、サアド朝が興隆し、今度はマラケシュを首都としてモロッコ全土を支配します。サアド朝は武断派で強力で、英主アフマド・アル=マンスールはサハラをこえてトンブクトゥ(現・マリ共和国)を征服し、オスマン帝国の西進拡大も阻止し、16世紀半ばから17世紀半ばにかけてモロッコを支配します。


サアド朝が内紛で弱体化すると、モロッコは再び分裂状態となりますが、シャリーフ(預言者ムハンマドの子孫)として尊敬されていた血筋のアラウィー家が勢力を拡大し、17世紀後半にモロッコを再統一します。これが現在のモロッコ王室でもあるアラウィ―朝で、この王朝の首都はフェズにはじまり、メクネス→ラバトと変遷しますが、一貫して北部の平原地帯ラインにあります。

f0140054_08405418.jpg

モロッコの歴史は、イドリス朝以来、預言者ムハンマドのシャリーフ家系を柱に、聖者主義をからませる形で推移してきました。フェズの王朝が爛熟し衰退すると、南部や山岳地帯の武力を持った田舎豪族が聖者主義を掲げて征服を行い覇権を握るものの、やがて都市化してまた弱体化してしまうというパターンです。
このあたりは、すでにマリーン朝時代にイブン・ハルドゥーンが『歴史序説』で「結束力が強い田舎勢力が都市を征服し、都市生活が長くなって弱体化し、新たな田舎勢力に征服される」という歴史パターンを見事に定式化しており、その慧眼に驚かされます。


そうした長い歴史の中で、フェズの町は常にモロッコの伝統的な核として機能してきたのです。日本でいえば、常に上洛の目的地であった京都と同じ役割を果たしてきた町と言えるでしょう。

f0140054_08405418.jpg


その古都フェズ案内ですが、今日は、中心のカラウィン・モスクから必見の観光ポイントであるタンネリです。


カラウィン・モスクをぐるりと回ると下側にサファリーン広場があります。ここは、銅鍋などを製造販売している光景を見学できます。カーンカーンという音が響き、叩き出しの銅製品が作られていきます。

f0140054_08391917.jpg
f0140054_08394072.jpg

サファリーン広場を歩いていると、タンネリ(なめし革工場)の案内人に声をかけられます。交渉次第ですが、だいたい5DHから10DHで案内してくれます。


広場の下り方向に向かって左側、異臭のする方へ歩けば道は分かるのですが、どうせ100円くらいですので、誠実そうな案内人を選んでタンネリへ行ってみましょう。まれに、高額な金銭を要求する悪質な客引きがいますので、注意してください。

このあたりにも多くの商店があります。

↓衣料品店

f0140054_08410404.jpg
↓手を振ってくれた女の子  装飾が施された金属製品を売っていました。
f0140054_08415290.jpg
↓これは何屋さん? 銅線のワイヤーのようなものが並べられていました。
f0140054_09235991.jpg
↓フェズ川に下っていく路地

f0140054_08424497.jpg
このあたりから強烈な異臭がしてきました。

↓ここにリヤド(高級民宿)があるようですが、この臭いがきつくて、ちょっと泊まれないなあ・・・

f0140054_08433801.jpg
↓タンネリ・ショワラと書いてあります。ここが見学ポイントの入り口ですね。

f0140054_08440567.jpg
タンネリは正式には、タンネリ・ショワラといい、フランス語で「なめし革工場」という意味。フェズ川の水を利用して昔ながらの手作りの皮革製造業が営まれています。


工場見学は、タンネリの周囲に立ち並ぶ革製品販売店の上階テラスから俯瞰して見る形になり、案内人はそのひとつの商店と契約しているわけです。

f0140054_08443474.jpg
↑円い染色桶がずらっと並ぶ光景は、けっこう強烈なインパクトがあります。悪臭にむせかえりますので、店の入り口で提供されるミントの葉を鼻に詰めたりマスクをして見学しましょう。


このなめし革工場は、500年以上の伝統を誇る公共の施設で、牛や羊、ラクダなどの革が、まず鳩の糞で柔らかくされ、次に様々な自然の染料によって、染め上げられていきます。


↓の写真で、左側に色の無い白い桶が並んでいますが、ここがまず革を柔らかくする鳩の糞の壺桶です。

f0140054_08454083.jpg
↓右側の建物の端に猫が佇んでタンネリを眺めています・・・・この悪臭は気にならないのかなあ・・・・

f0140054_08463248.jpg
↓ズームアップ

f0140054_08472463.jpg
フェズのクライマックスたるタンネリを見た後は、案内された店の革製品を見ることになります。バブーシュという可愛い革製スリッパは、お土産としても最適。お気に入りのものがあれば、タンネリの思い出として購入しましょう。タンネリ見学の入場料がわりともなります。


↓さすがこのあたりは革製品が多いですね。本場なので品質は良さそうです。

f0140054_08475736.jpg
↓バブーシュと猫(この作品は写真展で展示する予定です)

f0140054_08493457.jpg
f0140054_08495676.jpg





<たびねす記事もよろしくお願いします>





にほんブログ村 写真ブログ 旅行・海外写真へ
にほんブログ村 ←応援ポチいただければ嬉しいです。御覧いただきありがとうございます。





More 第7回 グループ温故斬新 写真展 のお知らせ

最後の グループ温故斬新 写真展 になりますので、ぜひお越しください。どうぞよろしくお願いします。

f0140054_14094414.jpg
なお、写真展案内ハガキをご希望の方は、メールまたは非公開コメントで送付先をお知らせください。直ちに送付させていただきます。



by mokonotabibito | 2018-01-16 08:53 | モロッコ | Trackback | Comments(6)
トラックバックURL : https://mokotabi.exblog.jp/tb/29264605
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by Lago at 2018-01-16 23:06 x
フェズのタンネリ工場を抜きにしては、街のメイン産業はあり得ないですね。
その悪臭は想像に固くないけど、それなしには、多彩な色のバッグやパプーシュは生まれないのですから、
縁の下の力持ちに思いを馳せるべきですね。
美しい部分のみでなく、その裏側を常にしっかりと捉えるところがさすがにプロの旅ライター。

フェズ川の路地を下れば異臭してタンネリ工場( こうば ) の眺め珍し

とりどりの柄美しきパプーシュよ恋の予感の幻想はらみ
Commented at 2018-01-17 07:01
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by LLサイズ at 2018-01-17 12:18 x
ポチッと。
Commented by 5sayori at 2018-01-17 23:34 x
こんばんは~
フェズではまさかのバッテリー切れ
スペアーはバスの中でした
はいったお店は同じかなあ・・
Commented by travelertsubotomo at 2018-01-19 18:47
染色の桶がずらりと並ぶ様子が圧巻です。これはなかなか見られませんね。
この染色の香りが悪臭の原因なのでしょうか。実際に行ってみないと分からない事ですね!
皮を鳩の糞でやわらかくするというのが面白いと思いました。昔から伝えられている技なのでしょうけれど、職人さんの知恵や技ってすごいなぁと改めて感じます。
カラフルなバブーシュは、ぜひ自分用に持ち帰りたいところです。
Commented by LLサイズ at 2018-01-23 23:33 x
バブーシュと猫、いいですね。
ポチ。
どんな匂いか想像。
鳩のフンの匂いはわかります‥
<< 海外旅と写真展のお知らせ ~旅... PageTop メインストリートをカラウィンモ... >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Starwort Skin by Sun&Moon