2016.2月末からの発売ということですが、オリンパスプラザで先行展示が開始されています。
先日、大阪オリンパスプラザで実機を触り試写する機会を得ましたので、感想レポートを書いてみます。
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More ■■■■■ PEN-F 試写! ■■■■■
かつて昭和の名カメラとしてペンF(1963年発売)というハーフサイズのフィルム一眼レフがありました。
その後。ペンFT(1966年発売)、ペンFV (1967年発売)と機種が増えペンFシリーズとして人気がありました。
ポロミラー式ファインダーにより、中央ペンタ軍艦部の出っ張りがないの特徴です。レンズ群も小さいので、システムとして小型になるのが利点でした。
↓ペンFT
今回、発売されるのは、このペンFへのオマージュともいうべきデジタル一眼 PEN-F です。
オリンパス製のマイクロフォーサーズのデジタル一眼は、PENシリーズとOM-Dシリーズがあり、いずれも E-P*あるいはE-M*という番号がついているのですが、今回のPEN-Fは番号無しです。
フィルム時代の名機に勝るとも劣らないものだというオリンパスの意気込みが感じられる命名です。
↓PEN-F
■■■■■ 全体印象と外観 ■■■■■
オリンパスプラザで実際に触ってみると、質感の高さが感じられました。レトロな香り漂うモダンで高品位なカメラです。
オリンパスのカメラの伝統的な特徴である小型で凝縮感のあるフォルムは、ここに極まった感がします。
触ってみると、意外に持ち重りがします。これは見た目とのギャップから来るのでしょうが、中身が詰まった「小さくて、ずっしり軽い」カメラです。
私の手にはピッタリ収まり、持ちやすかったです。
オプションの金属製外付けグリップも試してみました。これを付けると確かにホールド感が増しますが、金属製だけに重くなります。(外付けグリップの色は黒のみ)
うーん、PENの利点である小型軽量性とのバランスが微妙です。
とはいえ、この外付けグリップはうまく作られており、装着したままバッテリーやSDカードの交換可能で、そのまま三脚も使用できます。
(私が現在サブカメラとして使用しているパナソニックのGM1の場合は、外付けグリップを付けるとメディア・バッテリー交換の際には取り外さねばなりません。)
カメラ上面にはメカニック的なダイアルが多く配され、フィルムのレンジファインダーカメラのような雰囲気がします。
このカメラはデジタルのPENシリーズとしては、はじめてEVF(電子ビューファインダー)を内蔵したのですが、それだけではなく各所に工夫とこだわりが見られます。
↓PEN-Fの上面
まず、最初に触る部分が電源スイッチですが、これがまるでフィルムカメラの巻き戻しノブ(クランク)なのです!
↓電源スイッチ
他の上部ダイアル類では、独立した露出補正ダイアルが目立ちます。
↓露出補正ダイアル
このダイアルについては賛否両論がありますが、私は大いに評価します。
単なるギミックではなく、設定が一目瞭然で、とても使いやすいからです。
電源が入っていない状態でも露出補正の状態が確認できるわけですから、無駄な仕様ではありません。
フィルムカメラでは多く見られたスタイルなので懐かしく感じる人もいるでしょう。
かくいう私も、銀塩EOSを導入するまでは愛用していたダイアルなので、好ましく思えました。
シャッターレリーズボタンに、ネジ穴が切ってあり、機械式ケーブルレリーズソケットとして使えます。
ハイレゾショットなどで三脚撮影をする際、横のゴムカバーを開いて電子式リモートケーブルを装着するよりも、このほうが便利かも知れません。(まだ実証試験はしていませんが)
↓シャッターレリーズボタン
発売記念キャンペーンでは、このレリーズ穴に装着できる赤と黒のオリジナルレリーズボタンがもらえるようです。これも面白そうですね・・・
↓PEN-Fの前面
PEN-Fの前面にも工夫があります。
向かって右上のAF補助光窓ですが、後ろに同じような丸いEVFがあるので、レンジファインダーカメラのファインダー窓のように見えます。
■■■■■ プロファイルコントロール ■■■■■
注目すべきは、前面の向かって左側のダイアルです。
これは、クリエイティブダイヤルと呼ばれており、見た目は、フィルム時代のペンの前面シャッター速度ダイヤルをイメージしているようですが、むしろバルナックライカのスローシャッターダイヤルですね(笑)
今回の、PEN-Fでこのダイアルに割り当てられているのが、モノクロ/カラープロファイルコントロールという機能です。(アートフィルターやカラークリエイターもここで選択できます)
この機能は、モノクロでは、カラーフィルター効果、シェーディング効果、ハイライト&シャドーコントロール、粒状フィルム効果、調色効果という5種類を調整しながらモノクロ表現を追求します。
出来合いのプリセットとして、「クラッシックフィルムモノクロ」(コントラスト強め)と「クラッシックフィルム IR」(赤外フィルター効果)があります。
カラーのほうは、12色の彩度をそれぞれ11段階で調整できる機能です。
プリセットとしては、「クロームフィルム リッチカラー」(渋み濃厚感のコダクローム64的)と「クロームフィルム ビビッド」(鮮やか濃厚感エクタクローム100VS的)があります。
つまり、プロファイルコントロールとは、撮影時にカメラ側で、表現を工夫して、細かくクリエイティブな設定が行える・・・・・言い換えれば、絵作りをマニアックに変化させ楽しむという機能でしょう。
私的には、コダクローム64は大好きだったフィルムで、今でも記念に未現像のものを1本持っているくらいですから、「クロームフィルム リッチカラー」をぜひ使ってみたいと思います。
ただ、どうなんでしょう。「クラッシックフィルムモノクロ」とか「クロームフィルムリッチカラー」といったプリセットは、アートフィルターとどう違うのでしょうか?
実際、この前面ダイアルには、従来のアートフィルターとカラークリエーターも選択できるようになっており、似たような機能を集中させた形になっています。
プロファイルコントロールの細かい設定機能は自分好みにカスタマイズできるので良いと思いますが、プリセットはアートフィルターのひとつと考えても良さそうです。
私は以前から、フィルムシミュレーション系のアートフィルターを増やして、コダクローム風のアートフィルターが欲しいと言ってきました。<参考; こちら のブログ記事の最後の方の文章をお読みください>
PEN-Fで、それが実現したことは嬉しい限りなので、オリンパスプラザの許可をもらって試写してみました。
↓クロームフィルムリッチカラー(コダクローム64的)
↓クロームフィルム ビビッド(エクタクローム100VS的)
↓クラシックフィルムモノクロ(ケントメア400的??)
↓クラシックフィルム IR(エアロクローム III的??)
展示場でしか撮影できないので室内の造花とカメラバッグという被写体ですが、どうでしょうか?
私的な印象としては、クロームフィルムリッチカラーは、ラティチュードの広いコダクロームといった感じでした。
クロームフィルム ビビッドは、ちょっと派手すぎるかなあと思いました。
このプロファイルコントロールは細かく設定を変化させられますので、撮影時にじっくり試せますが、余裕の無い状況もありますので、あらかじめ自分好みにカスタマイズしたプリセット1を登録しておくのがベターでしょう。
なお、RAW現像では OLYMPUS Viewer3 の最新版がPEN-F対応に更新されています。
その仕上がりモードの中に、i-Finishやカラークリエイターと同じようにカラープロファイルとモノクロプロファイルという項目があり選択できます。
さらに、下向き矢印マークを押せば、細かい設定が可能となり、「選択したファイルから以下の設定が読み込まれます」という形も可能です。
すなわち、撮影時にJPG+RAWで記録しておけば、その時のプロファイルが保持されるので、RAWによる事後調整もできます。さらに事後選択ファイルの設定を別のプロファイルへ適用することも可能になるのです(但し、カラーとモノクロ間のプロファイルの渡りは不可)。
↓OLYMPUS Viewer3 による、パソコン上でのプロファイル操作画面
このように、後日、RAW現像時にゆっくりとプロファイルを変化させて楽しむのも一興ですね。
■■■■■ モニター全面AFターゲットパッド ■■■■■
PEN-Fは背面液晶は2軸可動式で、液晶を裏返すと全面シボ革貼りになり、底面もビスやネジが見えないように作られています。
実際に手にしてみると、非常に高級感があります。
背面液晶関係では、モニター全面AFターゲットパッドが興味深いです。
これは、ファインダーを覗いたまま、右手親指で背面液晶をなぞってAFポイントを移動させる機能です。
この機能をオリンパスで最初に導入した E-M10 Mark II では、ファインダーが真ん中上部にあるため、鼻が背面液晶を塞ぐことから、この機能はいささか使いにくかったのです。
PEN-Fなら、ファインダーが左端にありますので、AFターゲットパッドが全面で使えます。構図作成に便利な機能だといえるでしょう。
使い方は、カメラを構えファインダーを覗いたまま、右手親指で背面液晶をダブルタップ(軽く2回たたく)します。
するとファインダーの中にAFポイント枠が表示されますので、右手親指を焦点を合わせたい場所でなぞってAFポイントを光らせます。そして右手人差し指でシャッターボタンを半押しすれば、ピントが合います。
全体構図を決めてから、ファインダーを覗いたまま、AFポイントを自在に変化させられるわけで、とても便利な機能といえるでしょう。
AFロックしてから構図を動かすとコサイン誤差を生じますので、全体構図を決めてから厳密なAFポイントを働かせるモニター全面AFターゲットパッドは理にかなっています。
■■■■■ その他の機能とまとめ ■■■■■
従来からオリンパス機にあるライブコンポジット、Wi-Fi、キャッツアイコントロール、自分撮り用タッチボタン、スモールターゲットAF、スーパースポットAF、ピーキング表示、手持ち夜景、電子シャッター(静音モード)、ハイライト&シャドウコントロール、フォトストーリー、HDR撮影、各種ブラケット撮影(特にフォーカスブラケットが魅力)などの機能は健在です。
さらに今回、目新しいものとして、レンズ内手ぶれ補正とボディー内手ぶれ補正が協調する5軸シンクロ手ぶれ補正をはじめ、AFターゲット連動スポット測光、OVFシミュレーションモード、ライブデジタルシフト撮影、5000万画素ハイレゾショット機能、2030万画素LiveMOSセンサーも新たに搭載されています。
高感度は私的にはISO3200でもじゅうぶんに綺麗です。
新しいセンサーの画質は、厳密な比較はまだ出来ていませんが、ぱっと見、階調表現が豊かで自然な感じでした。
シャッター音は、シャッという上品な感じで、OMD EM-5 Mark II に近く、これも私的には好ましいです。
まだまだ書きたいことはありますが、長くなってしまいましたので、まとめてみます。
このPEN-Fというカメラは、ペンFへのオマージュというだけではありません。
レンジファインダー的スタイルに、フィルムカメラに似せた数々の作り込みを施し、そこに違和感のないように最先端のデジタルカメラの機能をうまく盛り込んでいます。
OVFシミュレーションモードやモノクロ/カラープロファイルコントロールといった、ソフト的な面にも、そのポリシーは貫徹しています。
あえてPEN-Fという名前を冠した所以がそこにあります。
すなわち、古いカメラへのリスペクトという筋を通しながら、新しいデジタルならではの挑戦をしているのです。
まさに「温故」かつ「知新」ではなく「斬新」なカメラといえるでしょう。
機能の事はあまり理解出来ないけど、日本はカメラの王国なんですね。
今回はカメラボディの美しさに魅せられました。
機能はそれ以上に魅力的で秀逸なのでしょうね。
カメラ・・・旅行などで写真を撮るのは大好きですが、
一眼レフは重いために使えないのが一番残念です。
新しきカメラの機種の出る度に血潮たぎらすマニアの羨 (とも) し
昔懐かしいペンの新しい機種が出たのですね。
私が撮影時に何時も使う露出補正のダイアルが
右上にあるのはとても便利です。
大きさもほどほどで、私のルミックスよりも
半周りおおきいだけです。
ポチ♪
このカメラ、僕の第一印象はちょっと懐古趣味に走り過ぎてるんじゃないの・・・と思ってましたが、フイルム時代のカメラマンには温故斬新に感じるのですね。
アートフィルターの内容と言い、ターゲットはまさしく往年のカメラマンということでしょうか。
ダイアル多すぎて僕の頭では追いつきそうにありません(^^;