模糊の旅人
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マサダ要塞遺跡(後編) ~聖書の大地を行く(47)
2014年 07月 20日 |
今回はマサダ要塞遺跡の細部を紹介します。

以下、マサダの写真は全てクリックすると長辺1000ピクセルに拡大されます。ぜひ大きくして御覧ください。
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↓下に、はるか死海が広がり、そのむこうにヨルダン側の山々が見えます。
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「マサダ」はヘブライ語で「要塞」の意味です。BC120年頃に、死海をのぞむ孤立した岩峰頂上に難攻不落の要塞として建設され、後にヘロデ大王が離宮兼要塞として改修したものです。

AD70年、ユダヤ戦争でのエルサレム陥落後、ユダヤ人の熱心党の集団約1000名が立て籠もり、ローマ軍に3年半にわたり抵抗しました。
1万5千人のローマ軍は、マサダを取囲み、3年がかりで急峻な斜面に土を盛り、なんとか攻撃用の斜路を造成し、マサダへと侵入しました。しかし、その時、マサダには960人の自決遺体があったのです。

フラウィウス・ヨセフス著『ユダヤ戦記』によれば、マサダの指導者エルアザル・ベン・ヤイルは、最後に
「われわれは、決してローマ人の召使いにも、また唯一の真にして義である神ご自身以外の何人の召使いにもならないと決心したのである。それ故に、今こそ、この決意を実行に移して真なるものとすべき時がきた。糧食の他は何も残さずおこう。何故なら、われわれが必需品の欠乏で敗れたのでなく、最初からの決意によって、奴隷よりも死を選んだことを証してくれるのだから」と呼びかけ960名が集団自決しました。生き残ったのは、たまたま地下に水汲みに行っていた2人の女性と5人の子供だけだったそうです。

マサダの悲劇は、イスラエルの国家的ヒロイズムとユダヤ人のアイデンティティーの象徴です。ユダヤ人にとって、まさにここは聖地なのです。
「マサダは二度と落とさせない」というユダヤ人の決意と強迫観念・被害者意識は、マサダ・コンプレックスと呼ばれています。
男女徴兵制のイスラエル国防軍の入隊宣誓式がここで行なわれるとともに、成人式でも、学校の卒業旅行でもここに来るのです。

↓私がマサダに行った時、出会ったイスラエルのハイスクールの卒業旅行の生徒たちのスナップ
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前回の記事で、マサダは飲料水をどうしていたのかという御質問がありました。
このような砂漠荒野で孤立した岩峰の頂上で、しかも近くの死海は強烈な塩湖なのですから、当然の御質問です。

死海付近は海面下428mにあるのですが、西のエルサレム高地(標高1000m前後・ただしエルサレム市街は標高835m)からは高低差が1500m近くあり、地中海からの湿気はそこでさえぎられ雨が降らず、死海周辺のユダ荒野=砂漠地帯が生まれます。
ただし、雨期にエルサレム高地に降った雨は、地下伏流水となり、非常に低いユダ荒野の砂漠地帯で一挙に地上に出て、鉄砲水となり死海に注ぎます。これがワジ=枯れ川です。

実はマサダは、この一時的な(ただし必ず発生する)鉄砲水を、上手く設計された水路で導き、要塞内部の巨大な貯水施設に注ぎ込むのです。なんとこのマサダ内部に、12の巨大貯水槽があり、4トンもの水を貯めることができたそうです。
そして、要塞の地下階段に降りて、内部から水を汲みに行くことが出来るようになっています。(上記の集団自決の際、生き残ったのは、この地下貯水施設に水汲みに行っていた2人の女性と5人の子供でした)

↓貯水施設への穴跡
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↓上記穴跡の近くにマサダの小型模型があり、鉄砲水の際に貯水する仕組みを実験できます。(右側台地から左マサダ砦中腹へと二本の道のように見える横筋状の切れ込みが、鉄砲水を貯水施設に導く水路です)
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↓右側の金属製コップから水を流すと、水路を伝って、確かに模型の貯水施設入り口穴に水が流れ込みました。なるほどと感心しました。
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実に緻密に計算された貯水施設であることが分かります。これが2000年前のマサダ要塞に造られていたのです!


↓サウナのような蒸し風呂跡です。
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この風呂の燃料は何だと思われますか?(周辺には草木なく動物の糞もありません)












それは、死海で産出される可燃性アスファルトでした。

↓アスファルトを投入した燃料口跡
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↓菊の紋章跡(菊花紋はユダヤの王家の紋です)
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↓住居跡に残るフレスコ画片
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↓シナゴーグ跡
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↓マサダには、世界的に珍しい野鳥トリストラムが多く生息しています。(この野鳥について詳しくは、こちら
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↓絶壁に穿たれた導水路(よく見ると水路中央に一匹の猫がいます・・・こんなところでどうやって生きているのでしょう)
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↓さらば、マサダ! ということでロープウェイに乗って下りました。
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↓下のマサダ案内所の中央に置かれたマサダの立体模型
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↓(参考)このマサダの悲劇は、ピーター・オトゥール主演で、1981年に映画化(TVドラマ)されました。マサダ案内所でダイジェスト版を見せてもらいました、
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by mokonotabibito | 2014-07-20 08:07 | イスラエル | Trackback | Comments(3)
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Commented by youshow882hh at 2014-07-20 18:29
こんにちは。 ゆーしょーです。
このような仕掛けで水を不自由なく飲めたのですね。
2000年もの昔、よくここまで考えましたね。
しかし水溜め場まで水を汲みに行く人は重労働だと思います。
ポチ♪
Commented at 2014-07-20 20:56
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by youshow882hh at 2014-07-21 14:30
こんにちは、ゆーしょーです。
日本と違いイスラエルでもいろんな人種の人が
住んでいるのですね。
ポチ♪
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