模糊の旅人
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カテゴリ:オランダ( 10 )
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2017年 01月 31日 |
レンブラントの『夜警』は、アムステルダム国立美術館の看板作品です。したがって人気があり、観覧者が非常に多く、なかなか人のいない絵の写真が撮れません。
そこで、開き直って「絵画とそれを見学する人たち」というモチーフで写真を撮ってみようと思いたちました。
以下、その写真をご覧ください。

↓フェルメール作品などがある名誉の間の風景です。奥正面にレンブラント『夜警』が見えています。いわば「遠くに『夜警』の見える部屋」
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↓名誉の間を額縁的に入れて、夜警の部屋をスナップ。題して「恋人たちの見る夜警」ですかね。
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↓「ご婦人と夜警」
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↓「夜警の前に整列した人たち」
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↓「夜警見学の小学生たち」 小さい頃から行儀良く優れた美術品を見ており、好ましくも、とても羨ましいですね。
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この『夜警』という作品は、市民自警団が出動する様子を描いたもので、明暗法により主要な人物を浮き上がらせ、さらに集団肖像画でありながら動きの要素を取り入れることで肖像画にドラマチックな趣を加えました。

実物を近くでじっくりみると非常に緻密に描かれていることが分かります。

そこで部分拡大写真を三枚お見せします。

↓中心部拡大。隊長が何か言っているようですね。
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↑隊長のバニング・コック家に保管されていた素描には「隊長の若きプルメレント領主(バニング・コック)が副隊長のフラールディンゲン領主(ファン・ラウテンブルフ)に市民隊の行進を命令する」とあるそうです。


↓異様なのは紅一点の女性が描かれていること。そこを拡大・・・明暗対照のためとかマスコット少女を描いたとか諸説あります。
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↑一説によれば、レンブラントの妻サスキアを描いたとも言われています。そこで、こちら の二枚目の『フローラに扮したサスキア』をぜひご覧ください(エルミタージュ美術館で撮影したもの)。比較して、確かにふっくらとした顔立ちは、サスキアさんに似ていますね。


↓隊長の手が影となって写っている部分を超拡大撮影。非常に細かく描き込まれていることが分かりますね。
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↓夜警の展示してある部屋の上部の柱も素敵なので撮影してみました。
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↓このマーク、どこかで見たような・・・・日本の某ホテルチェーンのほうが真似をしたのでしょうね。
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↓最後に、『夜警』が描かれた直近に描かれた小さな模写作品も展示されていましたので撮影してみました。
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↑これを見ると現在の『夜警』は左側部分が相当カットされてしまっていることが分かりますね。

史実では、この絵は、1715年に火縄銃手組合集会所からアムステルダム市役所に移された際に上下左右が切り詰められてしまったとのことです。
さらに、悲しいことですが、この『夜警』はこれまでに三度も観客に傷つけられた歴史を持ちます。


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2017年 01月 23日 |
アムステルダム国立美術館で最初に見に行ったのは、フェルメールの4作品でした。


グランドフロアの0階から、階段を一気に2階まで登り、中央の名誉の間を見学します。ここにはフェルメールを中心とした17世紀のオランダ風俗画が多く展示されています。


↓フェルメール4作品の展示風景。
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↑右端から『手紙を読む青衣の女』『牛乳を注ぐ女』『恋文』『デルフトの小路』となります。

いずれも小さな作品で、オランダ商人の家の部屋を飾るのにふさわしい風俗画です。人気のある絵ですが、朝一番に入ったので、ご覧のようにさほど混み合っているわけではなく、余裕を持って鑑賞できました。(ただし午後は混みました)

それでは4作品をアップで紹介します。

↓まずは一番有名な『牛乳を注ぐ女』
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↑この絵は、フェルメールの最高傑作でしょう。
勤勉に働く誠実そうな召使い女性が、完璧な構図と精緻な描写で描かれています。ありきたりな日常生活の描写でありながら圧倒的な存在感。絵画の教科書に登場する有名作品の実物を、間近で心ゆくまで鑑賞しました。

右下の床に置かれているのは、足温器(あんか)です。さりげなく床の奥行きを示す演出です。
パンの光の反射は明るい色の点で描かれており、ポワンティエ技法という独特の表現です。

それから左側の青布の掛けられたテーブルは遠近法的に不思議な形をしていますが、これは当時使われた六角形の机だそうです。
いろいろ昔のオランダの生活が偲ばれる絵でもあるわけです。

この絵に隠された寓意や隠喩については諸説ありますが、深読みするより、ラクエル・ラネリの「この作品に描かれているのは誠実さであり、勤勉に働くこと自体が情熱的だということを表現している」という単純な考え方に与したいと感じました。

↓『牛乳を注ぐ女』の説明板
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↑この絵は、英語では「ミルクメイド(The Milkmaid)」と呼ばれているのですね。



↓『デルフトの小路』(『小路』)
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↑この作品は、たった2枚しか現存しないフェルメールの風景画のひとつ。フェルメールの町デルフトは、1654年、火薬庫の大爆発により半分近くが壊滅しました。このためフェルメールは、古い街並みを残そうとこの絵を描いたようです。
ただし、少年期を過ごした家から裏手に見える旧養老院を描いたという説もあり、確定していません。

二分された画面はとても印象的で、洗濯や縫い物をする女性たちの穏やかな日常生活が描き込まれています。



↓『手紙を読む青衣の女』(『青衣の女』)
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↑お腹の大きい青衣の女性(妊娠しているかどうかは不明)が手紙を読んでいる作品です。このようなスタイルの服装が当時のオランダで好まれていたという説もあります。

まさにこの衣装の青い色が印象的ですね。
2011年に修復される際に、変色していた保護膜(ワニス)が取り除かれ、この衣装の美しい青がよみがえりました。これぞ、フェルメール・ブルーです。

この作品は、フェルメールの描いた女性画作品群のひとつですが、窓も天井もなく室内構成が非常にシンプルです。使われている色数も少なく、壁のグラデーションで左側からの光を表現しています。この女性は、フェルメールの妻カタリーナであるとも言われています。



↓『恋文』
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左手でシターン、右手で手紙を持つ当惑顔の夫人と、後ろから意味ありげに微笑む女中。いろいろ想像させる二人の表情です。
この絵の大きな特徴は、手前の暗い部屋から女性二人の居る部屋を覗くような空間構成です。他のフェルメール作品には見られない形で、見る者の視線を奥の二人にいざないます。

↓『恋文』の下部を拡大撮影
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↑この床の市松模様は、フェルメールの他の作品『合奏』や『絵画芸術』などでも見られ、当時のオランダで流行していたものです。この模様はフェルメールの遠近法の超絶テクニックを示すものですが、一説によると「カメラ・オブスクラ」(暗箱カメラのようなもの)を使ったともされます。

また、床のサンダルや立てかけられた箒は、恋愛情事の寓意とされており、あまり明確な寓意画を描かなかったフェルメールの変化が示されているという意見もあります。上の『手紙を読む青衣の女』と比べると小道具の多い複雑な構成の作品です。

この『恋文』は、1971年にナイフで切り取られるという形で盗難に遭い、発見されたものの、重大な破損が生じ、修復に約一年もかかりました。





なお、フェルメールについては、この後、私はデン・ハーグのマウリッツハイス美術館を再訪して、『真珠の耳飾りの少女』などフェルメール4作品を撮影しています。先になりますが、いずれブログ記事として紹介する予定です。

過去の、フィルムによる撮影のフェルメール作品については、低画質ですが、こちら をご覧ください。

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2017年 01月 12日 |
「たびねす」に、私の「アムステルダム国立美術館の記事」が掲載されました。
収蔵品が素晴らしく見学するにもちょうど良い大きさの美術館ですので、とても楽しめます。
また、今回の記事は「たびねす」の仕様変更に伴い、はじめて絵画など15枚の写真をアップしていますので、結構、見ごたえがあると思います。ぜひ、この紹介記事をご覧ください。
どうぞよろしくお願いします。

(41)美の殿堂!オランダ・アムステルダム国立美術館を完全制覇
http://guide.travel.co.jp/article/23758/






当ブログでも、たびねす記事とタイアップして「アムステルダム国立美術館」を、より詳しく紹介させていただきます。


今日は、アムステルダム国立美術館の(私にとっての)目玉というか、一番感動した絵画一枚とその画家を紹介します。
それは、クリヴェッリ(兄)の『マグダラのマリア』です。

↓暗い展示場所でしたが私が気合を入れて撮影したカルロ・クリヴェッリ『マグダラのマリア』(手持ち撮影)
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どうです、美しいと思いませんか?
私はこの絵の前に立って、あまりの素晴らしさに、30分ほど動けませんでした・・・・
感動の発見。新たな出会い:ドキドキわくわくが生まれた瞬間でした。


この絵はさほど有名ではなく、作者のカルロ・クリヴェッリに至っては、日本ではほとんど知られていません。私も昔は知らない画家でした。
『マグダラのマリア』は、前評判や評論家のオススメではなく、あくまで私が自分自身の目で見て衝撃を受けた作品です。


この絵のほうは、全く知らなかったわけではありません。
以前、澁澤龍彦の著作で読んだ記憶があり、最近はキリスト教史を勉強していく過程で、岡田温司『マグダラのマリア―エロスとアガペーの聖女 (中公新書)』の図番で見たことがありました。小さな図番でしたが、とても印象に残り気になる絵でしたので、アムステルダム国立美術館に行く際は、有名画家の主要作品を見た後で探してみようと、裏の目的として心に秘めていました。

そこで、家にある『世界の美術館34』(15年前に購入したもの)のアムステルダム国立美術館の紹介をあらかじめ読んでおきました。

↓『世界の美術館34』
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↓『世界の美術館34』の展示場所紹介ページ(右下に『マグダラのマリア』の小さな図番があり2階が示されていますね)
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オランダに着き、アムステルダム国立美術館の2階の現場で、まずは、この美術館の看板作品であるレンブラントの『夜警』やフェルメールの『牛乳を注ぐ女』などの名作を存分に堪能してから、『マグダラのマリア』を探しました。

アムステルダム国立美術館は、ルーヴル美術館やエルミタージュ美術館に比べると単純な構造で、見やすい配置になっています。それにもかかわらず2階のどこを探しても『マグダラのマリア』は見つかりません・・・2階全部屋全作品を確認しましたが、ありません・・・うーん、困った。

この美術館は大きくリニューアルされており上記の『世界の美術館34』の展示場所紹介ページは全く役に立ちません。予想外でした。

グランドフロア入り口でゲットした日本語フロアガイドでも、『マグダラのマリア』は載っていません。

↓日本語フロアガイド
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ひょっとして常設展示ではなくなってしまったのでは・・・と不安に思い、尋ねてみることにしました。
美術館の監視員は各部屋にいるのですが、その監視の仕事を中断させるのは気が引けます。それに監視員に英語が通じるかどうか分かりません。

そこで、0階グランドフロアまで降りてチケット売り場で聞こうと考え、2階廊下に出ました。するとそこに、名札をつけた親切そうな中年男性の美術館員が立っています。そこで、思い切って下手な英語で聞いてみました。

「 Excuse me. Where is St Mary Magdalene, painted by Carlo Crivelli? 」

するとそのおじさんは、にこやかにうなずいて、「 Zero floor! ground floor 」と教えてくれました。つまり0階にあるということです。良かった。
その学芸員風おじさんにお礼を言って、さっそく0階に降りて探しました。


0階は出入り口のある階でカフェやショップががあるため、展示室が大きく東西に分かれています。その西北隅に行くと祭壇画が多く飾られたコーナーがあり、この辺だなと直感しました。

↓祭壇画コーナー
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祭壇画コーナーの中央にはフラ・アンジェリコの素敵な聖母子像があります。その部屋の角を出ようとすると、まさにその出口にありました『マグダラのマリア』!!

やっとご対面です。
いやあ素晴らしい。思ったより大きく、まさに等身大です。

ビザンティン美術風の流れを汲む精緻な豪華さと、まるでアールヌーヴォーと見紛う装飾的な画風は、華麗で品格もあり、「美しい」という表現がピッタリです。

期待以上の見事な作品で、私は、しばらく呆然として立ち尽くしました。(このフロアはすいていて、ほとんど誰も見ていません)
自分の眼で確かめ、納得するまで絵を見てから、気持ちを込めて撮影したのがこの記事最初の写真です。

暗いので失敗ないよう何枚か撮りました。(この美術館はフラッシュと三脚を使わなければ写真撮影可ですが、暗い展示が多いので手ぶれしやすくカメラマンの技術が問われます)

↓ナナメ横から、少し引いた展示風景も撮影(展示版の左裏に人影が写っているので絵の大きさが分かりますね)
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↓上半身を拡大撮影・・・色合いの再現が難しいです。記憶色という意味では、記事最初の全体写真のほうが本物に近いと思います。
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右手はマグダラのマリアのアトリビュートである香油壺を掲げています。手が大きく描かれておりマニエリスム的誇張のようですが、とても印象的でモダンな感覚を感じさせるものとなっています。
この写真の色再現には微妙に自信がありませんが、造形の秀逸さと、きわめて精緻に描かれていいることはお分かりになると思います。

↓さらに顔の付近を拡大
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これは良い画家を発見したと思い、アムステルダムを出た後、フランクフルトにしばらく滞在したおりに、シュテーデル絵画館で、クリヴェッリの祭壇画2点を見て、これも良いなあと感じました。

それから、カルロ・クリヴェッリについていろいろ調べてみました。
しかし、マイナーな画家なので、なかなか情報がありません。


何より、この『マグダラのマリア』が、祭壇画として書かれたものかどうかが判然としません。

インターネットで調べると、クリヴェッリのファンという方のサイトを見つけました。それが、cucciolaさんの 「ルネサンスのセレブたち」というブログ です。イタリア在住の主婦の方で、イタリア語の本を読んでクリヴェッリについて勉強されているようです。すごいですね。

そこで、メールで連絡をとり、『マグダラのマリア』が祭壇画なのかどうかを質問してみました。
すると、親切に以下の回答をいただきました。

マグダラのマリアは「祭壇画の一部であったという説は現在はほぼ否定されています。というのも、クリヴェッリは自分のサインを、祭壇画を描く際には、中央の聖母子像に書くのが通常であり、祭壇画の脇を飾る聖人にサインすることはなかったそうです。ところが、この『マグダラのマリア』にはしっかり、『OPVS KAROLI CRIVELLI VENETI』のサインが向かって右下に入っています。そのため、単独の作品として描かれたのではというのが通説です。」

わざわざ詳しい返答をいただき、有難いことです。cucciolaさんにおかれましては、この場をお借りしまして深く御礼申し上げます。


この『マグダラのマリア』という絵は、マグダラのマリアを深く信仰していた貴族の依頼で描かれた単独の絵なんですね。祭壇画ではないからこそ、クリヴェッリは、ここまで大胆に思い切り艶やかに描いたのかもしれません・・・


クリヴェッリの絵では、聖母マリアはきわめて真面目な愁いを含んだ厳粛な雰囲気で描かれているのですが、マグダラのマリアは華麗で美しく魅力的に描かれています。

厳粛な聖母マリア祭壇画の例
↓『ろうそくの聖母』(ミラノのブレラ美術館蔵・・・元はカメリーノ聖堂多翼祭壇画の中央部パネル)
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華麗なマグダラのマリア祭壇画の例
↓『モンテフィオーレ三連祭壇画のマグダラのマリア』(元は聖フランチェスコ教会の21面パネル多翼祭壇画の中段最右翼端部)
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聖母マリアに代表されるようにクリヴェッリの描く聖人たちは、どれも哀しみの想いを漂わせています。しかし、マグダラのマリアだけは、違うのです。
アムステルダム国立美術館の『マグダラのマリア』は、つんとすましたような表情で、『モンテフィオーレ三連祭壇画のマグダラのマリア』は、まるで妖しく微笑んでいるように見えます。どちらの作品も顔といい所作といい、とても魅惑的な描き方です。


なぜ、マグダラのマリアだけは、こんなに雰囲気が違うのでしょうか?


以下は私の独自の解釈です。

あくまで勝手な独断的私見ですが、マグダラのマリアはクリヴェッリの愛した(ヴェネツィア追放の原因となった)女性がモデルではないかと想像します。
二度と故郷のヴェネツィアに戻らず、マルケ地方の田舎に埋もれてひたすら真面目に宗教画を描き続けたクリヴェッリですが、マグダラのマリアだけには生涯忘れ得ない愛する女性の面影を反映させたのではないでしょうか。





次に、クリヴェッリに関する本を紹介しておきます。

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日本で最初にクリヴェッリを本格的に紹介したのは、澁澤龍彦で、彼は美術評論の本の随所にマグダラのマリアについて書いていますが、残念ながらクリヴェッリ専門の本は書いていません。そこで一例として、少しだけ短文を紹介します。


・・・・アムステルダムの「マグダラのマリア」を見てもお分かりのように、髪の毛の束になってうねった、額のひろい、眉毛のほそい、鼻の先のとがった女の顔には、いうにいわれぬ冷たい知的な気取どりがあって、私たち現代人にも強く訴えかけてくる要素がある。・・・・

                        『西欧芸術論集成(上)』澁澤龍彦(河出文庫)より


澁澤龍彦は、クリヴェッリの描いた顔は男であれ女であれ「独特の精神性をあらわしていて、すばらしく美しい」と述べています。 
余談ですが、澁澤龍彦は、私の好きなクラーナハ(クラナッハ)も愛好しており、いろいろ書いておられます。また、最近巷で人気の伊藤若冲については、はるか昔から評価しておられました。その優れた慧眼には驚かされるばかりです。

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ピエタ研究家の塚本博の著作にもクリヴェッリに言及されたものが少しあります。今後の塚本先生の著作を期待したいです。ほんのちょっとだけ短文を紹介。


・・・・彼が創造した聖母マリアやマグダラのマリアは、現代にも通じるようなモダンで洗練された女性像である。・・・・

                        『すぐわかる作家別ルネサンスの美術』塚本博(東京美術)より

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クリヴェッリ専門の日本語の本としては、以下の三冊があります。御興味のある方は参考にしてください。


(1)『カルロ・クリヴェッリ画集』 吉澤京子 (ピナコテーカ・トレヴィル・シリーズ) 
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↑この本は絶版で、トレヴィル社も倒産して古本で稀にしか手に入りません。しかも稀少本として値段が跳ね上がっています。いつも私の利用する自治体の図書館には所蔵されていないので、今後、大きな図書館で探ってみることにします。



(2)『カルロ・クリヴェッリ―マルケに埋もれた祭壇画の詩人』  石井曉子 (2008/9 講談社出版サービスセンター)
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↑これは、まだ十分に流通しているので、さっそく買って熟読しました。

この本は、基本的に「旅行記プラス研究まとめ」という感じですが、クリヴェッリに出会い研究していくことになった著者の情熱が感じられる本で好感が持てました。著者の人生も感じさせます。ただ、『マグダラのマリア』についてはほとんど書かれていないのが残念でした。

クリヴェッリについての詳しい年譜や全作品一覧表・用語解説もあるので、クリヴェッリ入門に最適な本として、おすすめします。



(3)『カルロ・クリヴェッリの祭壇画』 石井曉子 (2013/2 講談社ビジネスパートナーズ)
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↑この本は購入予約し取り寄せ手配中です。(2)と同じ著者になるもので、世界中の美術館にバラバラに散らばったクリヴェッリ祭壇画の元の姿を誌上で復元する試みなどがあるようです。読むのを楽しみにしています。



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現在(1月15日まで)、大阪の国立国際美術館で「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」というのをやっています。カルパッチョ、ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼといったヴェネツィア派の画家たちの作品がメインですが、クリヴェッリの作品も2点展示されています。
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ただし、この展覧会のクリヴェッリ作品は、ヴェネツィアのアカデミア美術館所蔵の『聖セバスティアヌス』と『福者ヤコポ・デッラ・マルカ』で、少し変わった絵たちです。特に『聖セバスティアヌス』に至っては身体に何本もの矢がささって死にかけているという残酷なもので、(聖セバスティアヌスの絵としては当たり前なのですが)キリスト教史に興味のない方にとっては薄気味悪い作品でしょう。
この二作でクリヴェッリに初対面する人が多そうなのは、ちょっと残念な気がします・・・・クリヴェッリの魅力は、なんといっても、愁いを含んだ聖母マリアと、華麗なマグダラのマリアなんですから・・・・

この展覧会のくわしい感想については、後日、ブログでアップする予定です。

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以上、少しでもクリヴェッリのファンが増えて、クラーナハや伊藤若冲のように盛り上がってほしいと、いろいろ書いてみました。





カルロ・クリヴェッリさん、よくぞ素敵な絵を残してくれました。ありがとう!

私は、単なる評判に頼ることなく、自分の目で発見し、感じたことを大事にしたいと思っています。
ロシアのエルミタージュ美術館では、 クラーナハの 『林檎の木の下の聖母子』 に出会いましたし、今回のアムステルダム国立美術館では、クリヴェッリの『マグダラのマリア』に感動しました。



まだまだ世界には、ドキドキわくわく、意外な、ときめきの出会いと発見がありますね!
これだから、旅はやめられません。



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2012年 07月 15日 |
マウリッツハイス王立美術館 (オランダ/デンハーグ)【フィルム】
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『真珠の耳飾りの少女』 マウリッツハイス王立美術館(デンハーグ)【フィルム】
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『デルフトの眺望』 マウリッツハイス王立美術館(デンハーグ)【フィルム】
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『窓辺で手紙を読む女』 アルテ・マイスター絵画館(ドレスデン)【デジタル】
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『レースを編む女』 ルーヴル美術館(パリ)【フィルム】
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『牛乳を注ぐ女』  国立美術館(アムステルダム)【フィルム】
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『秤をもつ婦人』 国立美術館(ワシントン)【フィルム】
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『絵画芸術』  美術史美術館(ウィーン)【デジタル】
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2011年 12月 24日 |
メリークリスマス!
今日と明日は、クリスマス特集ということで、ヨーロッパの聖夜の雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。

昨冬の中欧旅行は、予約していた航空会社がストライキになり、すったもんだして、結局、伊丹→成田へ、そしてKLMオランダ航空で、アムステルダムに飛び、そこからまたプラハに飛ぶという長いコースになりました。(帰りは、パリ経由のエールフランス)

急遽決めたので、便の連絡が悪く、アムステルダムでも中途半端に時間が余ります。そこで、空港やその周辺を少々散策したのですが、クリスマス前ということで、結構イルミネーションや装飾が綺麗でした。

それでは、アムステルダムのスキポール空港とその近辺での、クリスマス装飾を御覧ください。
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2009年 07月 30日 |
旅してみて感じた、オランダについて、以前HPで文章を書きました。そのオランダ論を少し修正して再掲してみますので、興味のある方は、More をどうぞお読みください。。

さて、明日から約一週間、夏休みを取らせていただきます。
国内ですが、旅に出てきます。どうも梅雨が明けず天候が心配ですが、できれば梅雨地帯から逃れた、最果てへの旅をしてみたいと思います。
コメント返しや皆様のブログへの訪問ができませんが、どうぞご勘弁ください。
また、帰りましたらブログを再開しますので、どうぞ宜しく御願い申し上げます。<(_ _)>
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More オランダ論
2009年 07月 29日 |
オランダの田舎の田園風景も良いものです。
凍った川では、親子がスケートを楽しんでいました。
私はここが気に入って、何枚も写真を撮りました。
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2009年 07月 28日 |
オランダの街は、とても素敵です。
特に首都アムステルダムは、水路の美しい街で、散策するのには最適です。
運河が街を縦横に配されて、とても風情があり、飽きないです。一日中ゆっくりと街を歩き回りました。
英仏伊の首都のような巨大なモニュメントや建造物は、ありませんが、街の醸し出す雰囲気というのは、とても素敵でした。
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2009年 07月 27日 |
あまりにも暑苦しい日々が続くので、銀塩写真の在庫より、寒そうな風景をお目にかけることにしました。
冬のオランダシリーズです。暑さを吹き飛ばしてください(笑)

以前、冬の時期にオランダをゆっくり旅しました。主たる目的は、ゴッホとフェルメールの名画を見ることでしたが、途中のオランダらしい情景も、とても素敵でした。
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2008年 05月 24日 |
厳冬期にオランダを訪問しました。
オランダといえば風車ですね。
ちょっとポラロイド風に、小さくて古い写真をお楽しみください。
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その他、アムステルダム等の街歩き、そしてゴッホやフェルメールの名画を訪ねて美術館めぐりをしました。
寒かったですが、人が少なく楽しいオランダ旅行でした。

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