模糊の旅人
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2017年 02月 04日 ( 1 )
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2017年 02月 04日 |
「たびねす」に、私の「ロシア・エルミタージュ美術館でルネサンス美術を見る!」という記事が掲載されました。

以前、掲載した「世界最大規模!ロシア・エルミタージュ美術館を完全制覇」という記事が好評だったので、エルミタージュのルネサンス美術を専門的に取り上げて書いたものです。
絵画など15枚の写真をアップしていますので、ぜひ、この紹介記事をご覧ください。
どうぞよろしくお願いします。

(42)ロシア・エルミタージュ美術館でルネサンス美術を見る!
http://guide.travel.co.jp/article/24310/






今日は、上記の、たびねす記事とタイアップして、エルミタージュのルネサンス絵画のうち、あまり知られていない初期ルネサンスのものを中心に紹介します。

エルミタージュ美術館の初期ルネサンス美術群は注目に値するものです。多くの作品が展示されていますので、時間の許す限り、ゆっくりと鑑賞しました。その中で、圧倒的に多い「聖母子」というテーマは、分かりやすいので、ルネサンス美術をたどる道しるべになると感じました。

それでは、なるべく描かれた年代順に、「聖母子」という切り口で選んだ、初期ルネサンス絵画をご覧ください。


14世紀のシエナの画家『聖母子』
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1320~1325年ころに書かれたと説明板にありました。
「14世紀のシエナの画家」とあるだけで詳しくは不明ですが、いかにも中世的な古色が横溢しています。作者不詳というのがまた古さを感じさせて良いですね。

シエナは、中世に金融業と羊毛取引で栄えた都市国家で、トスカーナ地方の覇権をフィレンツェと競うとともに、プロト・ルネサンス芸術活動が盛んでした。そうした歴史を感じさせる作品ですね。



ロレンツォ・ディ・ニッコロ・ジェリニ『聖母子』
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ロレンツォ・ディ・ニッコロ・ジェリニは、14世紀末から15世紀初に活躍したフィレンツェの画家で、この絵は1400年ごろに描かれたものと思われます。
板にテンペラで、上に掲載した「14世紀のシエナの画家」の作品と、下に掲載しているフラ・アンジェリコの作品のちょうど中間の雰囲気です。

フィレンツェは、 メディチ家のによる統治の下、ルネサンス芸術が花開いた場所です。初期ルネサンスから、文化の中心地となり、多くの建築家や芸術家を生み出しました。



フラ・アンジェリコ『聖母子と天使』
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フラ・アンジェリコは、15世紀前半に活躍した修道士画家で、その優しい画風と優れた人格からとても人気があります。

この絵は、聖母子の周りに天使たちを配して、いかにもフラ・アンジェリコらしい作品。古いゴシック的要素と新しいルネサンス的要素が混在しており、少し古色を残した雰囲気が素朴感を漂わせています。
1425年ごろの作品で、板にテンペラで描かれて額装と一体化しており、祭壇画の中心部パネルであった可能性もあります。




ポッティチーニ『聖女バルバラと聖マルティヌスのいる幼児キリストの礼拝』
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ポッティチーニは、ボッティチェリとほぼ同年代で名前が似ているため、混同された画家ですが、最近ようやくそのアイデンティティーが整理され、研究途上にあります。この『聖女バルバラと聖マルティヌスのいる幼児キリストの礼拝』という作品は、完成度が高く大型であることから、きわめて貴重なもので、今後注目されていくことが期待されます。





ヴェロッキオ『聖母子』
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ヴェロッキオは、レオナルド・ダ・ヴィンチをはじめボッティチェリ、ペルジーノ、ギルランダイオらの師匠で、当時フィレンツェで最も優れた美術工房を運営していました。やがてペルジーノはラファエロの師匠となり、ギルランダイオはミケランジェロの師匠となったわけですから、ヴェロッキオ工房は、歴史的にも非常に重要です。

ヴェロッキオが、『キリストの洗礼』という作品を描いた時、弟子レオナルドにキリストのローブを捧げ持つ天使を担当させたのですが、レオナルドがあまりに見事に描いたことから、師ヴェロッキオは二度と絵画を描くことはなく彫刻に専念するようになったとする逸話があります(事実かどうかは不明)。

写真の『聖母子』を見ると、すでにゴシック的な古さは無く垢抜けしており、ルネサンス絵画の描き方になっています。ヴェロッキオの工房から出た画家たちが、ルネサンス盛期をかざる作品を描く時代が到来したことを感じさせます。

なお、この絵については、ポッライオーロの作品とする説(コリン・アイスラー)もありましたが、現在ではヴェロッキオの作品とされており、エルミタージュ美術館の現場ではヴェロッキオ作という説明板がかかっていました。





レオナルド・ダ・ヴィンチ『リッタの聖母』
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↑ルネサンス盛期。レオナルド・ダ・ヴィンチによりルネサンス絵画が頂点に達したことをうかがわせる作品です。エルミタージュでも、一番人気の絵画です。

この作品の成立年代については諸説ありますが、レオナルドが発明したスフマート技法がふんだんに使われており、中期の作品である可能性が高く、1490~1491年に描かれたとするのが最も有力です。
レオナルドが描いた元絵に、弟子たちによる加筆修正が加えられた可能性があるとされています。弟子ボルトラッフィオ作品という説もありますが、 逆に、この絵がレオナルド作品の中で最も美しい真作で本人単独作成とする意見もあります。エルミタージュ美術館はレオナルドの真作としています。

『リッタの聖母』のリッタは、ロシア皇帝アレクサンドル2世が、1865年にミラノ貴族アントーニオ・リッタ侯から買い取ったことに由来します。




同じ「聖母子」を描いていますが、このように年代順に見てくると、やはり時代によって雰囲気が変化していくことが分かります。ここがとても興味深いですね。

聖母子画は、最後は、ラファエロに至り、究極の形となります。37歳でラファエロが夭折すると、やがて安定感を脱したマニエリスム様式が主流となり、ラファエロの優雅で調和に満ちた世界から遠ざかっていきます。



今日、紹介できなかったエルミタージュのルネサンス画作品の詳細に関して、
レオナルド・ダ・ヴィンチについては、こちら
ラファエロについては、こちら
北方ルネサンスのクラーナハについては、こちら
をご覧ください。

ヴェネチア派については、いずれ機会を見て記事を書くつもりです。<追記> こちら に書きました。



↓エルミタージュ美術館は、インテリアとしての内装も素晴らしく、天井構造も見事。このようにルネサンスの芸術品は、部屋そのものも素敵な場所にありますので、全体的な雰囲気も楽しめます。
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なお、エルミタージュ美術館の全体的な概要や注意点については、「【たびねす】世界最大規模!ロシア・エルミタージュ美術館を完全制覇」をお読みください。


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