模糊の旅人
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バルセロナ サグラダ・ファミリア(4) 受難のファサードの彫刻
2008年 02月 15日 |
私が違和感を持った受難のファサードの彫刻です。
皆さんに予断を与えてはいけないので、昨日は簡単な紹介で失礼しました。
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上の彫刻の左横にあるパズルのようなものは、魔方陣の一種で、どこを足しても33になります。キリストの受難の年齢を表しているそうです。(厳密に言うと、同じ数字を複数用いているので魔方陣ではないですが。。)

さて、これらの彫刻いかがでしょうか?
受難のファサードの彫刻を、それだけ取り出してみれば、悪くないと思います。
シュールな良い作品でしょう。
ただ、私は、これはガウディから逸脱していると感じました。
全体のバランスを考えると問題ではないでしょうか?
このあたりは、芸術家に対する批判になりますので、興味のある方だけ、下のmoreをお読みください。
芸術に対する感じ方は自由です。あくまで私の場合は、違和感を持ったということですので、ご了承ください。

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余談:受難のファサードの彫刻の問題について

1985年から受難のファザードの彫刻を作り始めた彫刻家は、ガウディの残されたデッサンを全く無視して、彫刻を作ってしまったそうです。
直線を基調としたこの彫刻は、自然界の素材を重視し曲線を愛したガウディのセンスからは、対極にあるもので、私は違和感を禁じ得ませんでした。

確かに、大聖堂は何世紀もかかって造られるため、もとの設計者の意図したものとは異なるものになることがあり、ロマネスク様式にゴシック様式が重なった大聖堂は多くあります。
しかし、生誕のファサードと、受難のファサードの彫刻はあまりにもかけ離れすぎています。曲線に対して直線という、逆の手法を用い、ガウディに挑戦しているかのようです。

結果、ガウディの企図したサグラダ・ファミリアの全体のバランスを崩しています。
「東側のデザインとのつりあいがあまりにもとれていない」というのは、一般の人が素朴に感じる正直な気持ちだと思います。
この部分が、世界遺産の指定から外れているのは当然でしょう。これはガウディではありません。

この彫刻自体は、作品として悪いとは思いません。問題は、全体とのバランスなのです。
将来、どうでしょうか。受け入れられるでしょうか?
私は、ガウディのデッサンを尊重してほしかったと思います。

さらに、ガウディの生前に造られていた生誕のファサードは、基本は石組み造りですが、受難のファサードは新しいコンクリート造りのため、印象が違うのです。彫刻とあいまって、表と裏のような関係に見えてしまいます。

つまり、この教会は、建設当初は石組み建築でしたが、残念ながら現在は、RC造(鉄筋コンクリート造)に転換されているのです。
私の尊敬する、生誕のファザードの彫刻家:外尾悦郎氏は、これにショックを受けたそうです。
外尾氏はその決定がなされたときに「俺はこの仕事を辞める」と言ったのです。
彫刻も全てコンクリートにすると言われたからです。
結果的に彫刻は石で造られること決まり、氏は残りましたが、お気持ちは良くわかります。

外尾氏の言葉を、少しだけ引用します。
・・・
「コンクリートは優れた建築材料であると思うが、自然な物ではなく人工物である。言ってみれば無理矢理型にはめて生み出す物であり、力ずくで作るものである。
石と違いそこには『生きている』という感触がなく、最初から死んでいる。そしてそれは、死んだままどんどん環境に即して劣化していく。」
・・・
そのとおりだと思います。
外尾氏は、サグラダ・ファミリアの将来について危惧を有しているそうです。


この教会は、最初は、ネオゴシック的な建物として構想されたものです。
ただ、ゴシックのように控え壁やフライングバットレスを用いずに、曲面を多用し、非常に高い鐘塔を造ることで、中世ゴシック建築とは違う印象を得た、新しい試みでもあります。
全体としてみれば高い鐘塔が林立するものの、柔らかな丸みを帯びた高い建物というのが特徴です。
ゴシック建築の尖塔の直線的な美の世界とは、似て非なるものです。
そこにはガウディの、アールヌーボー的な美意識を経た、ユニークな世界があると考えます。

ガウディの思想の核心は「自然に即した構造物を作る」というところにあります。

できれば、彫刻群も、全体との調和を考えて、制作して欲しいというのが、私の願いです。
将来出来上がる南側の、栄光のファサードには期待しています。

以上、全く私の独断と偏見で、簡単なサグラダ・ファミリア論を述べました。
間違いも多々あるかと思います。
胸をときめかせて行った、サグラダ・ファミリア。そして、大いに感動した生誕のファサードに対し、違和感を感じた受難のファサードへの気持ちを正直に述べさせていただきました。


ただ、同じようなことを感じられた方も、いらっしゃるようです。知りたい方は、こちらをご覧ください。
本来のガウディの受難のファサードのデッサンとの比較を知りたい方は、こちらをどうぞ。
by mokonotabibito | 2008-02-15 19:03 | スペイン | Trackback | Comments(19)
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Commented by gogoasia at 2008-02-15 20:03
うーん確かにガウディのやさしい曲線とは
対極にある作品ですね。

ドイツやチェコあたりの現代建築的な教会
にふさわしいような。。。
Commented by izu530 at 2008-02-15 21:58
私のブログにもご訪問いただき、ありがとうございました。
私も、リンクをいただきました。よろしくお願いします。

mokonotabibito さんが、書いていらっしゃる上の
ようなことを知ると、もう一度サグラダファミリアへ行っ
てこの目で確かめてみたくなります。
でも、もう2度といけないのかなぁ~。

今後ともよろしくお願いします。
Commented by maribell1225 at 2008-02-15 23:51
こんばんは。
2日間ほどの間にサクラダファミリアの色々な写真が掲載されています。
受難のファザードも彫刻家が主張して作成したものかと思いますが、やはり基本的なものと調和の取れるものを彫刻しなければ意味がないのでは無いでしょうかねー。
長い年月を掛けて建築されてるこの建物私たちが生きている間に完成するのかな?
それとも永遠に完成がない物なのか、不思議な建築ですね。
今日もポチさせていただきます。

Commented by 100-400IS at 2008-02-16 00:02
こんにちは。
昨日こちらで、サクラダ・ファミリアの上部のアップを、
はじめて見させてもらった程度ですので、 (^_^;)
彫刻の違和感がどうこうと言うより、
昨日の上部のカラフルな色遣いのほうが違和感が・・・あります。
ポチっと。
Commented by NIMITZ at 2008-02-16 02:32 x
こんばんは。
アップで見ると、彫刻がまるで違うことに驚いてしまいます。
100年以上かけて作っているのですから、違って当然かもしれませんが。
でも、基本計画(ガウディのデッサン)から逸脱するのはいかがなものかと。
この芸術家はガウディに挑戦状を突きつけたのでしょうね。
コンクリート作りというのもショックですね。
このような建物は石作りであって欲しいです。
コンクリートの方が簡単でしょうが、無機質な感じがしてしまいます。
日本の城も、再建するなら木で作って欲しいです。
でもほとんどが、コンクリート作りですものね。ガッカリします。
Commented at 2008-02-16 12:54
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by yozora_nagameyou at 2008-02-16 18:38
こんばんは。

確かに、mokonotabibitoさんの仰るとおりです。
全体の調和を考えて造って欲しいです。
芸術センスとはいえ、あまりにも空気が読めない芸術家はあんまり歓迎しないです。
Commented by mokonotabibito at 2008-02-16 18:52
【gogoasiaさん】
全く同感です。
「この教会には、似合わない、他でやってくれ」と思わず叫びたくなりました(笑)
私のように感じた人も、結構いるようですよ。。。
生誕のファザードの彫刻が本当に今にも動き出さそうに生き生きしているだけに。。。残念です。
Commented by mokonotabibito at 2008-02-16 18:52
【izu530さん】
コメントありがとうございます。
そうです、また行きたいですね。
できれば栄光のファサードが一部でも公開された時に行きたいです。
ここに何度も通っている人もいるそうですよ。
それだけの価値はあります。
ぜひ!
Commented by mokonotabibito at 2008-02-16 18:53
【フクロウままさん】
ありがとうございます。
そうですね、「調和」ということを考えて欲しかったです。
個人的な趣味で言うと、外尾悦郎氏に彫って欲しかったです。。。
多分、私の生きているうちには完成しないでしょうが、栄光のファサードの一部でも見たいものです。
いつもポチいただき感謝です。
Commented by mokonotabibito at 2008-02-16 18:53
【100-400ISさん】
なるほど、そういう見方もあるでしょうね。
私も、実はこちらの受難のファサードのテーマパーク的装飾には異議があるのですが、これはひょっとして、エッフェル塔が最初酷評されたようなものではないかとも思えるので。。。
評価というのは、難しいものですね。
いつもポチいただき感謝です。
Commented by mokonotabibito at 2008-02-16 18:53
【NIMITZさん】
>この芸術家はガウディに挑戦状を突きつけたのでしょうね。
はっきり言っていただけましたが、私もそう思います。
外尾さんが何度も抗議したそうですが、受け入れられなかったそうです。
>このような建物は石作りであって欲しいです。
これも同感です。
どうせ何百年もかけるなら、石造りに挑戦して欲しかったです。
コンクリートなら、大手ゼネコンが数年もあれば造れそうな気も。。。
ちょっと言いすぎかな(笑)
Commented by mokonotabibito at 2008-02-16 18:57
【yozora_nagameyouさん】
ありがとうございます。
心強く感じました。
カウディが好きな人にとっては、他でやってくれ、という感じですね。
確かに全体を考えてほしかったですね。
Commented by meteortrain at 2008-02-17 00:06
St. Pau病院から歩いてサグラダ・ファミリアに歩いて行ったのですが
mokonotabibitoさんからジャンプして行った先のページでは
最も良い道すじだったのですね。事前の調べ無しで行ったのですが
とてもよい偶然でした。
・・・受難のファザード界隈(西側)は写真あまり撮っていないんです。
直感でなんだかなあ〜と思ってましたが、これらの書き込みを見て
なんとなく撮らなかった理由がつかめたような気がします。
ぽちっ!
Commented by mokonotabibito at 2008-02-17 09:44
【meteortrainさん】
せいかいです!!
私もそうでしたが、St. Pau病院から歩くのが一番です。
生誕のファサードが立ち現れて来る光景は感動ものですね。
受難のファサードの件は、まったく同じです。
ほんと、え、これ、ガウディじゃない。。。という感じでした。
同意見の方がおられて嬉しく思います。
ポチ感謝です。
Commented by あるきテクテク at 2008-02-17 19:14 x
ガウディはキリストの誕生と死をサグラダ・ファミリアを通して建築的に表現しています。彼は、生誕の門を完成を待たずに市電に轢かれて死んでしまいましたが、受難の門の力強いスケッチは残しています。それと現在の建っているものを比べると、直線的でガウディらしくないと言われますが、建築デザイン的にはほとんどガウディのデザインと言えます。外尾氏はガウディを継ぐと言って頑張っておられる様ですが、彫刻家である彼には不可能なことです。生誕の門の彼の彫った彫刻を見る限りにおいて、全くガウディ的ではないからです。それもそのはずで、石膏で既に作ってあった具象彫刻を、彼が石で彫って置き換えたのです。
ですので、」生誕の門の外尾氏の彫刻はガウディの建物と調和していてすばらしく、ご受難の門はスビラック氏の彫刻は直線的でガウディらしくなく、調和していないのでおかしいと言う論調は的を外れているのではないのでしょうか?
ガウディの残したご受難の門のスケッチを見ると、ガウディは、人間の生(曲線的)と死(直線的)をコントラストを持って力強く表現したかったが分かります。ガウディの建築は生と死を許容するもっと奥深いものであると私は思います。
Commented by mokonotabibito at 2008-02-18 19:05
【あるきテクテクさん】
こんばんは。貴重なご意見ありがとうございます。
あるきテクテクさんは、ご専門家でいらっしゃるのでしょうか。
私の意見は、現場で感じた違和感と、外尾氏の本及び講演、あと徹子の部屋に出演した外尾さんの言葉を聞いて考えたものにすぎません。まったくの素人の独断です。
外尾氏の言動に影響された部分がありすぎたかもしれません。
正直言って、外尾氏の彫刻のほうがガウディ的ではないというご意見もあるということを、はじめて知りました。
私は表と裏という感じを受けたことは述べましたが、「ガウディは、人間の生(曲線的)と死(直線的)をコントラストを持って力強く表現したかった」といわれれば、そのような気もします。
ただ、スビラック氏の彫刻については、賛否両論があるのは事実だと思います。
私がお話を聞いた、スペイン人のガイドさんも、そうおっしゃっていました。
そのあたりを含め、もう一度虚心坦懐になって、考え直してみる必要がありそうです。
今後の課題といたしますので、よろしくお願いします。
Commented by mai at 2008-02-20 17:36 x
そんな背景があったのですね。
まず、私もやはり違和感を感じます。
今世に出ている説は、それが正しい情報なのか判断することが難しいですが、スビラック氏がガウディのデッサンを無視した、もしくは逆に建築デザイン的にはほとんどガウディのデザインを引き継いだ、どちらとしても、ガウディの表現したかったものとはなにかやはり異なる気がします。
コントラストをもたせることと別物を造ること、の違いな気がします。

いろいろ勉強になります。ありがとうございます。
いつか行くことができたら、いろんな目線でみることができそうです。
Commented by mokonotabibito at 2008-02-20 20:17
【maiさん】
好意的なコメントありがとうございます。
「コントラストをもたせることと別物を造ること、の違い」
なるほど、非常に明快な考え方ですね。
私も違和感を感じたのですが、同じような感じを持たれたとのことで、正直嬉しいです。
違和感という事実だけは消せません。
今のところ、私はその感覚を大切にしたいと思います。
どうぞ今後とも、よろしくお願いします。
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