模糊の旅人
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フェルメールの4作品 ~アムステルダム国立美術館(2)
2017年 01月 23日 |
アムステルダム国立美術館で最初に見に行ったのは、フェルメールの4作品でした。


グランドフロアの0階から、階段を一気に2階まで登り、中央の名誉の間を見学します。ここにはフェルメールを中心とした17世紀のオランダ風俗画が多く展示されています。


↓フェルメール4作品の展示風景。
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↑右端から『手紙を読む青衣の女』『牛乳を注ぐ女』『恋文』『デルフトの小路』となります。

いずれも小さな作品で、オランダ商人の家の部屋を飾るのにふさわしい風俗画です。人気のある絵ですが、朝一番に入ったので、ご覧のようにさほど混み合っているわけではなく、余裕を持って鑑賞できました。(ただし午後は混みました)

それでは4作品をアップで紹介します。

↓まずは一番有名な『牛乳を注ぐ女』
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↑この絵は、フェルメールの最高傑作でしょう。
勤勉に働く誠実そうな召使い女性が、完璧な構図と精緻な描写で描かれています。ありきたりな日常生活の描写でありながら圧倒的な存在感。絵画の教科書に登場する有名作品の実物を、間近で心ゆくまで鑑賞しました。

右下の床に置かれているのは、足温器(あんか)です。さりげなく床の奥行きを示す演出です。
パンの光の反射は明るい色の点で描かれており、ポワンティエ技法という独特の表現です。

それから左側の青布の掛けられたテーブルは遠近法的に不思議な形をしていますが、これは当時使われた六角形の机だそうです。
いろいろ昔のオランダの生活が偲ばれる絵でもあるわけです。

この絵に隠された寓意や隠喩については諸説ありますが、深読みするより、ラクエル・ラネリの「この作品に描かれているのは誠実さであり、勤勉に働くこと自体が情熱的だということを表現している」という単純な考え方に与したいと感じました。

↓『牛乳を注ぐ女』の説明板
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↑この絵は、英語では「ミルクメイド(The Milkmaid)」と呼ばれているのですね。



↓『デルフトの小路』(『小路』)
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↑この作品は、たった2枚しか現存しないフェルメールの風景画のひとつ。フェルメールの町デルフトは、1654年、火薬庫の大爆発により半分近くが壊滅しました。このためフェルメールは、古い街並みを残そうとこの絵を描いたようです。
ただし、少年期を過ごした家から裏手に見える旧養老院を描いたという説もあり、確定していません。

二分された画面はとても印象的で、洗濯や縫い物をする女性たちの穏やかな日常生活が描き込まれています。



↓『手紙を読む青衣の女』(『青衣の女』)
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↑お腹の大きい青衣の女性(妊娠しているかどうかは不明)が手紙を読んでいる作品です。このようなスタイルの服装が当時のオランダで好まれていたという説もあります。

まさにこの衣装の青い色が印象的ですね。
2011年に修復される際に、変色していた保護膜(ワニス)が取り除かれ、この衣装の美しい青がよみがえりました。これぞ、フェルメール・ブルーです。

この作品は、フェルメールの描いた女性画作品群のひとつですが、窓も天井もなく室内構成が非常にシンプルです。使われている色数も少なく、壁のグラデーションで左側からの光を表現しています。この女性は、フェルメールの妻カタリーナであるとも言われています。



↓『恋文』
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左手でシターン、右手で手紙を持つ当惑顔の夫人と、後ろから意味ありげに微笑む女中。いろいろ想像させる二人の表情です。
この絵の大きな特徴は、手前の暗い部屋から女性二人の居る部屋を覗くような空間構成です。他のフェルメール作品には見られない形で、見る者の視線を奥の二人にいざないます。

↓『恋文』の下部を拡大撮影
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↑この床の市松模様は、フェルメールの他の作品『合奏』や『絵画芸術』などでも見られ、当時のオランダで流行していたものです。この模様はフェルメールの遠近法の超絶テクニックを示すものですが、一説によると「カメラ・オブスクラ」(暗箱カメラのようなもの)を使ったともされます。

また、床のサンダルや立てかけられた箒は、恋愛情事の寓意とされており、あまり明確な寓意画を描かなかったフェルメールの変化が示されているという意見もあります。上の『手紙を読む青衣の女』と比べると小道具の多い複雑な構成の作品です。

この『恋文』は、1971年にナイフで切り取られるという形で盗難に遭い、発見されたものの、重大な破損が生じ、修復に約一年もかかりました。





なお、フェルメールについては、この後、私はデン・ハーグのマウリッツハイス美術館を再訪して、『真珠の耳飾りの少女』などフェルメール4作品を撮影しています。先になりますが、いずれブログ記事として紹介する予定です。

過去の、フィルムによる撮影のフェルメール作品については、低画質ですが、こちら をご覧ください。

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by mokonotabibito | 2017-01-23 08:35 | オランダ | Trackback(1) | Comments(6)
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Tracked from dezire_photo.. at 2017-01-23 09:01
タイトル : ノートルダム大聖堂とラテン文化とゲルマン文化が交流した要..
ルクセンブルク ⅡLuxemboug:Notre Dame Cathedral& country history 戦略上の拠点である地の利は希に見る地の利は、希に盛る波乱に満ちた歴史を残しました。世紀ゴルターニュ、スペイン、フランス、プロイセンの注目の的となり、1815年自治を回復するまで外国勢力の統治下にありました。「北のジブラルタル」と呼ばれるほど歴代の統治者により強化された強固な要塞は、その一部がその姿を留め、ルクセンブルクの街の象徴となっています。... more
Commented by 5sayori at 2017-01-23 09:02 x
おはようございます
フェルメールとの出会いうらやましいです
私はたぶん行くことはないと思いますから、ゆっくりこちらで鑑賞させてもらいますね
Commented by youshow882hh at 2017-01-23 15:34
こんにちは。ゆーしょーです。
アムステルダム国立美術館の館内は撮影が可なのですね。
いいですね、記念に残すことが出来て。
大勢見に来てますね。
ポチ♪
Commented by Lago at 2017-01-24 16:12 x
大好きなフェルメールなので、私見を述べたいのですが、
朝からパソコン、というよりタイムマシンの不具合で
ネットがつながらず、パソコンが使えずにいました。
フェルメールの女性は、楽器と手紙に関わるモティーフが多いですね。

遠き国遠き時代の人なれどフェルメール画の温もりは永遠

手紙なるモティーフに興を覚えたり物語めきて思ひふくらむ
Commented by youshow882hh at 2017-01-25 21:47
こんばんは。
ポチ♪
Commented by youshow882hh at 2017-01-26 18:20
こんにちは。
ポチ♪
Commented by engel777engel at 2017-01-26 18:25
フェルメールの画は大好きです。。私の知っている画家で名前と画が一致する数少ない画家のひとりでもありますす。。。。

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