模糊の旅人
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ヒッタイト帝国の首都ハットゥシャ遺跡(エピローグ)王の門と出土品  ~トルコ再訪(26)
2016年 11月 02日 |
ハットゥシャ遺跡の最終回です。

スフィンクス門を後にして、城壁にそって南東に行くと、ちょうどライオン門の向かい側という位置に、王の門があります。

↓王の門
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ここは、ヒッタイト王ではないかと思われたレリーフが発見されたので「王の門」と名づけられたのですが、後にそのレリーフは王ではなく「戦いの神」であることが判明しました。

↓そのレリーフです。
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確かに、このレリーフは、ヤズルカヤ遺跡で見た浮彫りと同じで、とんがり帽子で短いスカートを履いており、身体は前向きで、顔は横向きというヒッタイトの男神像様式そのものです。

↓胸のあたりをアップで撮影。鉄の武器を持っているように見えます。
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↓王の門の外側の景色です。切れ込んだ谷になっています。
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この王の門にある像はレプリカで、オリジナルはアンカラのアナトリア文明博物館に収蔵されています。

↓アナトリア文明博物館に収蔵されている「戦いの神」のオリジナル浮彫り
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↑石灰岩でつくられており高さは225cmあります。王の門の内側で発見されたそうです。BC14世紀。深彫りで彫刻のようですね。

せっかくヒッタイトを紹介している良い機会なので、アナトリア文明博物館に収蔵されているハットゥシャ遺跡出土品を以下、いくつか紹介します。

いずれも、まさにここハットゥシャ遺跡にあったオリジナルの本物ですので、この写真を見ながら、遺跡の風景や復元俯瞰想像図も参考にして、ヒッタイト帝国首都の古代ロマンに思いを馳せてください。

↓双頭のアヒル小像。焼成粘土で20.2cm。BC14世紀。小さいながら存在感のある見事なものです。
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↓牛の形の儀式用器。焼成粘土で90cm。BC16世紀。牡牛はヒッタイトの嵐の神で主神のテシュプを象徴しています。
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↓楔型文字のタブレット。焼成粘土で26.5cm。BC16世紀。儀式の生贄について書かれているそうです。
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↓ヒッタイト王ウリーテシュブの印刻。焼成粘土で3.95cm。BC13世紀。この時代からハンコが重要な役割を果たしていました。
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↓リング状容器。焼成粘土で30cm。BC14世紀。秀逸なデザインの見事な焼き物です。
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↑最後のリング状容器は素晴らしいもので、現代陶芸の作品と言っても通用するよう斬新な造形です。

ヒッタイトは滅亡してしまい、首都ハットゥシャが風雨の強い山岳地帯にあったため目立つ遺跡も多くは風化してしまいましたが、残された遺跡出土品を見ると、なかなか見事で、あらためてヒッタイト文化の素晴らしさを実感しました。

ヒッタイトは、派手なエジプトと比べると無味単純な古代軍事国家と考えられがちですが、実は建築や宗教・芸術も盛んな当時としては最先端の文明国であったのです!



さて、ハットゥシャ遺跡について、周囲の尾根の城壁と門などを紹介してきましたが、北側の下界に開かれた部分がどのようであったのかを最後にお見せします。

↓北側の平地に建てられていた城壁(復元されたもの)
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↑手前の礎石が並んでいる場所が大神殿と下市の遺跡最下部で、その向こう側下方(南側)には最近建てられた復元城壁がありました。現在の遺跡入り口横です。

周囲6kmの尾根城壁の北側平地には、このような城壁が横にまっすぐ佇立し谷を横切り、敵の侵入を防いでいたのです。



 ~ エピローグ ~

紀元前17世紀から約500年に渡り、鉄器文明を擁してオリエント世界に勇名を轟かせたヒッタイトですが、紀元前12世紀の終りごろ、突然滅亡しました。

これは「前1200年のカタストロフ」と呼ばれる大きな災厄で、古代エジプトからアナトリア半島、ギリシア本土に至る東地中海世界を震撼させました。中でもヒッタイト帝国とミケーネ文明の崩壊が最も大きな出来事です。

原因は「海の民」と呼ばれる異民族の侵入によるとされてきましたが、急激な天候異変による飢饉や巨大地震説も有力で、いまだ結論が出ていません。


「海の民」というのは大きな謎で、エジプトの古代文書にも書かれており、戦闘的な民族が当時の先進地帯であるオリエントに攻め込んで来たのは事実のようです。
彼らは、現在のイタリアから来たエトルリア人であるとか、後に レトーンとクサントスの遺跡 を建設したリキア人であるとか、西方諸蛮族の混成民族移動であるとする説もあります。


後のゲルマン人やノルマン人の侵入のような大きな出来事が古代に起こったわけで、通説によるとヒッタイト帝国はそれにより滅亡し、歴史上から姿を消したのです。ただ、そのおかげで、ヒッタイトが秘密にしていた鉄の精錬技術が周辺に広がり、鉄器文明の時代を現出したのです。


ヤズルカヤ遺跡やハットゥシャ遺跡に立って、我々はこの失われたヒッタイト帝国の歴史に思いを馳せます。

栄枯盛衰は世の常とはいえ、ここまで巨大な当時の文明国が一瞬に滅んでしまい、記憶の彼方に忘れ去られてしまった事実に、驚くとともに茫漠たる思いにとらわれます。

名作長編アニメ『天は赤い河のほとり』の舞台でもありますので、トルコに行かれた際は、ぜひこの古代文明の跡をご覧なり、遥かなる歴史世界を旅してください。


↓最後は遺跡に咲いていた印象的な野の花(野生のスミレの一種)を掲載します。さらば、ヒッタイトの遺跡!
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More 写真展のお知らせ


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第6回 グループ温故斬新 写真展


場所:オリンパスプラザ大阪 オープンフォトスペース
            (大阪市西区阿波座1-6-1 MID西本町ビル 1階)

開催日:2016年11月11日(金)~11月17日(木) <但し日曜は休み>

開催時:午前10時~午後6時  <但し最終日は午後3時まで>


場所の 地図は こちら  

地下鉄本町22・23番出口すぐです。(四つ橋線本町駅が便利です)




4人の仲間による個性豊かな手作りの写真展です。

温故知新ではなく温故斬新ですよ(笑)。
古いものをリスペクトするとともに、現代の斬新な感覚も大切する意です。

皆さまのお越しを心よりお持ち申し上げています。



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by mokonotabibito | 2016-11-02 08:43 | トルコ | Trackback | Comments(6)
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Commented at 2016-11-02 15:48
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Lago at 2016-11-02 17:08 x
何回かに分けて紹介されてきたヒッタイト遺跡巡りも、いよいよ終章を迎え、感無量。
このブログの紹介がなかったら、おそらくは知り得なかったであろう遠い遠い國の歴史物語・・・
多くの事を学ばせて頂けた事を感謝したいと思います。
分らない事だらけだとしても、嘗て実在した国や人物を遺跡から実証したり、
想像したりする旅の醍醐味が、ここには結実していました。

ただ遺跡の像たちのレプリカは、ライオンにしても、スフィンクスにしても、
また今日の戦いの神にしても、お粗末過ぎたのが残念でした。
この國のもろもろの事情なんでしょうね。
短歌は勿論、オリジナルからの触発で詠みました。
ですから博物館収蔵のオリジナル紹介の心遣いは、大変有効で有難かったです。
双頭のあひるの粘土作品も、とても興深く拝見しました。
なお最後の紫の野の花は、私が大好きなすみれ(野生?)ですね。
連載全体の締めの一枚として、最高の花であり、演出でした。

大岩に彫りいだされし戦ひの神のリアルよ武器も拳も

謎めくも瞬時に滅びしヒッタイト岩陰に咲くすみれ愛 (かな) しも
Commented by youshow882hh at 2016-11-02 21:10
こんばんは。
王の門というのですね。
色んな門があるのですね。
今日は超忙しく、コメントに
追われています。
とりあえず応援だけです。
ポチ♪
Commented by youshow882hh at 2016-11-03 19:59
こんばんは。
ポチ♪
Commented by youshow882hh at 2016-11-04 12:05
こんにちは。
今日も良い天気です。
ポチ♪
Commented by senad3 at 2016-11-06 20:11 x
ヒッタイト人。古代人との認識はあるものの、ここまで具体的な内容は覚えていませんでした。

勉強になりました。(*.*)
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