模糊の旅人
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ヒッタイト帝国の首都ハットゥシャ遺跡(後編)スフインクス門と地下道の謎 ~トルコ再訪(25)
2016年 10月 30日 |
ライオン門からさらに南へ上っていくと、標高が1236mとハットゥシャでの最も高い部分に、スフィンクス門があります。

↓スフィンクス門。ここはハットゥシャ遺跡の一番頂上ですので、3月でしたが雪が残っていました。
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写真のように、門の両側のスフィンクスの像は、有翼人面で身体はライオンの立った姿勢に作られています。顔はややふっくらしており女性的な感じがします。このスフィンクス像はレプリカで、オリジナルは海外流出などの紆余曲折があったものの現在はボアズカレの博物館に収蔵されています。

↓顔部分をアップ
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↓後方から撮影。翼部や尻尾部分の彫り込みも、なかなか見事なものです。
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エジプトのギザの大スフィンクスは座った姿勢で翼はありません。有翼で女性の顔をしたスフィンクス像は、古代オリエント世界によく見られるもので、ここハットゥシャのスフィンクスもその系統に属すると考えられます。

また、嘴を持つ鳥のような頭部のスフィンクスも多く、ペルシアやギリシアのグリフィン像系にも通じるものがあります。アジアの狛犬やシーサー文化にも影響を与えた可能性もあります。

このスフィンクス門を見ると、こうした各種のスフィンクスが世界の広い文化交流の基盤にあることが実感されます。

↓縦構図で撮影
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このスフィンクス門は、ライオン門(前回紹介済)や王の門(次回紹介予定)と違って、トンネル状の門の脇柱に彫り込まれたものではなく、城壁の頂上部に置かれている感じです。

↓スフィンクス門の付近は大城壁上の大きな長方形の広場になっており、ライオン門や王の門とはまったく雰囲気が違います。
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スフィンクス門には、城壁下部から登っていかねばならないこともあり、ひょっとして、この門のある頂上部分は、通常通路ではなく儀式用の場所ではないかと考えられます。それは、以下に述べる地下道(イェルカプ)との関連性からも導き出されます。


スフィンクス門の真下に、地下道(イェルカプ)があり、城壁の中のトンネルを通って外に出ることができます。
長さが約70mもあり、天井高は約3mで、結構、本格的なものです。これが大いなる謎のトンネルなのです。

↓地下道(イェルカプ)入り口
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地下道は明かりが無いので暗いですが、高さは3mくらいあり屈む必要はなく、先に出口の明かりが見えるので、足元さえ注意すれば通り抜けるのは、そんなに怖くありあせん。

↓遠くに出口が見えます。
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↓地下道内部
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↓尖塔アーチ状に積み上げられた巨石で構成された内部構造で、これは後から掘られたトンネルではありません。
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↓通り抜けて振り返って撮影した地下道出口。しっかりした巨石で目立つ門です。
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↓地下道を出た、城壁外側の景色・・・雪をかぶった渓谷が見下ろせ、遠くに山々が広がっていました。
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この、地下道(イェルカプ)は、いったい何のために作られたのか?
これは大きな謎で、諸説あります。主な説は三つあります。

(1)隠し抜け道
(2)非常時に兵士を繰り出すための通路
(3)通常利用の外部への近道通路

(1)については、内側も外側も相当目立つ巨石による頑丈な構造になっており、隠された抜け道というのは解せません。
(2)については、可能性はありますが、ここだけに兵士用特別門があるというのは何故なのかという疑問が残ります。
(3)は、この上にあるスフィンクス門は宗教的儀式用の門で、通常はこの地下道を出入り口に使ったとする考え方です。

そこで、じっくりと現場で考えてみました。

↓ハットゥシャ遺跡(前編)でアップした遺跡地図の南側を部分的に拡大して再掲します。
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↑南端のスフィンクス門の下の黄色い線が、地下道(イェルカプ)で私がパソコンで加筆しました。

西のライオン門と、東の王の門は、ペアで作られており、それに対してスフィンクス門は南側頂上の造成された大城壁上の特殊な場所にあります。

さらに、地図を見るとスフィンクス門の南北両側は、極端に等高線が込み合っており、直線的で、巨大な人工的石垣の積み上げ城壁構造であることが、分かりますね。

↓地下道の出口外側から振り返って見上げる城壁。巨大な規模の石垣積みの構造物で、しっかりと造られています。驚くべき見事な石垣で、そのど真ん中下部に地下道出口が鎮座しています。
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↓地下道を戻って、遺跡の内側から城壁を撮影。北斜面になるので雪をかぶっていますが、こちら側も巨大な造成斜面であることが分かります。
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つまり、ここは地形的な高い場所に、さらに石垣を積み上げて造られており、地下道は、あらかじめ造成時に石垣をアーチ状にして通路として残された空間建造物なのです。
地下道のアーチ構造空間の上に、さらに石垣が積み上げられ、その最上部に、スフィンクス門が置かれているのです!

地下道は外側に向かって傾斜していますが、これは本来のこの尾根の向こう側に傾斜していく山の地形がそのまま残されているからでしょう、


以下の記述は、あくまで私見です。

現場を体験してみると上記(3)の説が、正しいように思えました。
この地下道は堂々たる門構えで目立ち、南端巨大城壁の中心に位置し、隠し抜け道ではありません。
もし、王族用の脱出抜け道を造るなら、こんな南端の高い場所ではなく、王城要塞(ブユックカレ)に造るべきでしょう。

次に、この地下道は3200年以上経過しても崩れない構造で、人が屈まなくても余裕を持って通れる内部の3mという高さも、前回の記事で掲載したライオン門の復元想像図のトンネル構造とそっくりです。このことからも、地下道は通常利用の外部への通路門であったと想像されます。
城壁が超巨大になったので、通用門も70mという長いトンネルになってしまったのです。(もしここの城壁が小さければ、このトンネルはライオン門と同じ規模であったでしょう)

普段は、わざわざ城壁頂上のスフィンクス門を通らず、地中をトンネルでショートカットすれば便利です。

また、スフィンクス門は、ライオン門や王の門とまったく違い、儀式用の雰囲気がしました。
スフィンクス門は、首都ハットゥシャで最も高い場所にあります。位置的にも首都南端にあり、周囲6kmにわたるハットゥシャを囲む城壁の中でも一番大きくて頑丈に造られた高い城壁のてっぺん中央です。
ここには、何か、象徴的あるいは宗教的な意味があったのではないでしょうか?



↓今日の最後は、遺跡に咲いていたワタスゲのような花です。
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More 写真展のお知らせ


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第6回 グループ温故斬新 写真展


場所:オリンパスプラザ大阪 オープンフォトスペース
            (大阪市西区阿波座1-6-1 MID西本町ビル 1階)

開催日:2016年11月11日(金)~11月17日(木) <但し日曜は休み>

開催時:午前10時~午後6時  <但し最終日は午後3時まで>


場所の 地図は こちら  

地下鉄本町22・23番出口すぐです。(四つ橋線本町駅が便利です)




4人の仲間による個性豊かな手作りの写真展です。

温故知新ではなく温故斬新ですよ(笑)。
古いものをリスペクトするとともに、現代の斬新な感覚も大切する意です。

皆さまのお越しを心よりお持ち申し上げています。



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by mokonotabibito | 2016-10-30 09:00 | トルコ | Trackback | Comments(5)
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Commented by engel777engel at 2016-10-30 15:17
スフィンクスの門の地下に掘られた謎の長いトンネル、現場を直にご覧なった模糊さんのご見解にきっと違いありません。。しかし想像を絶する天空の城壁都市ですね。。これまで大神殿跡、ライオンの門と何回かにわけて拝見してきて、ここにきて最初の「ハットゥシャの往時の俯瞰想像図」に戻り天空の都に思いを馳せています、この想像図では右上の一段高くみえる入り組んだ構造の場所が王城か神殿のように見えるのですが、高低差がよくわからず、スフィンクスの門は左下の城門にあたるのでしょうか。。。まるでお伽の国のお城を想像している自分がここにおります。。

古代遺跡に咲く一輪のワタスゲ、素敵です。。

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Commented by Lago at 2016-10-30 15:55 x
ここはかなり高地ですね。
ライオン門の紹介も興深かったけど、羽翼のスフィンクスもあるとは!
人っ子一人いない広漠としたこのような遺跡に、いらしただけでも珍しいのに、
これらの連載ブログを拝見していると、単なる観光の旅ではなく、
古代遺跡を、とことん追究したいというれっきとした歴史家の眼と熱情があり、
改めて感動を覚えます。
特に今日の記述には、それが感じられました。
地下道の解釈になる程と共感いたしました。
今日は詠みたいモティーフが多々ありますが、取り急ぎ、最も思いを深くした一首を・・・

残雪の遠き山並うるはしくスフィンクスは眼 (まなこ)見開く
Commented by youshow882hh at 2016-10-30 20:15
こんばんは。ゆーしょーです。
雪国の、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」
という文を思い出しました。
ここは、地下道を抜けると雪景色が広がっていた ですね。
素晴らしい景色です。
ポチ♪

今日の和歌も好きです。
Commented by youshow882hh at 2016-10-31 20:53
こんばんは。
ポチ♪
Commented by youshow882hh at 2016-11-01 23:59
こんばんは。
ポチ♪
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