模糊の旅人
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巨大磨崖ナグシュ・ロスタム(前編) ~ペルシアの旅(33)
2016年 09月 10日 |
久しぶりのペルシア記事です。
まだまだイラン関係の写真は沢山残っているのですが、思うように紹介できません。せめてメインのペルセポリスまでは年内に到達したいと思います。

私の場合、自ら撮影した写真を見れば、はっきりと記憶が蘇えります。それでも、その写真以外の周辺状況などは徐々に忘れていきます。そこで、できるだけ早めにアップしたいのですが、多忙なのと次々と新しい旅がやってくるので、仕方がありません。ただ写真を並べるだけではなく、ある程度の解説をつけて整理していきたいので、どうかご容赦ください。


今日は、一枚岩の崖に刻まれた巨大墳墓遺跡ナグシュ・ロスタム(ナギシェ・ロスタム)の前編です。

ナグシュ・ロスタムは、ペルセポリスの北6kmにある巨大な磨崖遺跡で世界遺産に指定されています。

↓土獏の真ん中に巨大な崖が見えてきました・・・・なるほどこれは権力誇示の墓の場所にふさわしいスケールの大きさです・・・
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ここは、BC6世紀からBC5世紀にかけて造られたアケメネス朝ペルシア(ハカーマニシュ朝ペルシャ)帝国盛期の王墓群です。

帝国の最盛期に君臨したダレイオス1世(ダーラヤワウ1世またはダリウス大王とも表現)をはじめ、クセルクセス1世、アルタクセルクセス1世、ダレイオス2世の四基の王墓が認められます。つまり、父-子-孫-曾孫と、ダレイオス1世から連続する四代の王の墓がここにあるわけです。

なお、ダレイオス2世の次代以降の王であるアルタクセルクセス2世、3世、ダレイオス3世の墓はペルセポリス山腹にあります。

↓近づいて王墓群を見ます。下に小さく写っている人間と比較してみてください。(この写真はクリックすると横1200ピクセルに拡大されますので、ぜひ大きくしてご覧ください
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迫力満点ですが、異様な存在感もあり、はるか紀元前の巨大帝国の権力誇示の装置でもあることが実感されます。

↓ダレイオス1世(大王)の墓
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↓少し離れた場所にあるクセルクセス1世の墓
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ダレイオス1世から四代続くここナグシュ・ロスタムの王墓は、いずれも巨大な磨崖に大きな十字形が彫り込まれ、その中心に穴がある形になっています。
これは、曝葬(鳥葬)の後、磨崖横穴に埋葬するゾロアスター教の葬制の最も巨大な形だと考えられます。
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以前紹介した、アケメネス朝ペルシア帝国の創立者キュロス2世の パサルガダエ墳墓 とは、まったく異なります。根本的に形式が違います。

これは、キュロス2世のパサルガダエ墳墓は先行するバビロニアなどのオリエント文明の影響を受けた墳墓形式なのですが、その時代はまだゾロアスター教が国教になっていなかったからです。

世界で初めてオリエント大世界を統一しペルシア帝国最盛期を現出したダレイオス1世によって、ゾロアスター教が国教のような形になり、王権が神授され権威づけが行われたのです。ダレイオス1世は、ゾロアスター教による巨大墳墓を造営し(さらにペルセポリスを建設し)て新たな歴史を作ろうとしたのです。


あくまで私見ですが、一神教的でシンプルなゾロアスター教は、帝国を統一する思想としては都合が良かったのだと思います。ダレイオス1世はキュロス2世の系統の王位を簒奪したとする有力学説もあるくらいですから、余計に自己の王権を神から授けられたものとして正当化する必要があったのでしょう。(後世の、ローマ帝国におけるキリスト教公認の状況を連想しますね)

↓墳墓の中心部分を望遠で拡大撮影。中心の穴は曝葬後の骨が入れられたようです。
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↓クセルクセス1世の墓の上部に刻まれたレリーフ。ゾロアスター教のシンボル「翼のある日輪のマーク」が見えますね。
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↓部分拡大
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この王墓群の前には、ゾロアスター教の神殿とされる石造りの遺跡もあります。
四角の建物で、シンプルな造形からゾロアスター教神殿らしく思われますが、諸説あり詳しいことは判明していません。

↓ゾロアスター教神殿とされる遺跡(ゾロアスターのカアバ en:Ka'ba-i Zartosht と呼ばれます)
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なお、ナグシュ・ロスタムは英雄の絵を意味します。ナグシュとは「模様、絵」のことであり、ロスタムとは『王書』(シャー・ナーメ)に出てくる伝説の英雄の名前です。



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by mokonotabibito | 2016-09-10 07:40 | イラン | Trackback | Comments(6)
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Commented by youshow882hh at 2016-09-10 15:46
こんにちは。ゆーしょーです。
1枚目、あまりの大きさに見とれていました。
比較するものがないので、どのくらいの大きさかと
考えてましたら、2枚目に人が出てきました。
横1200ピクセルに拡大して見ました。
高さ20m以上ありますね。
世界遺産に登録されているのですね。
ポチ♪
Commented at 2016-09-10 16:41
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by engel777engel at 2016-09-10 21:52
先ず映像のあまりの迫力、威容に圧倒されました。。私のように写真映像そのものにのめりこむ者にはそれだけでたまらない魅力です。。アプせずにとっておくなどとてもできません。。
 BC6世紀からBC5世紀にかけて造られたアケメネス朝ペルシア(ハカーマニシュ朝ペルシャ)帝国盛期の崖に刻まれた巨大墳墓遺跡、王墓群と聞かされるとわくわくするようなロマンを感じます、BC6世紀からBC5世紀って想像を超える昔のことですよね。。。。
 とても貴重な景観をみせていただきました、ありがうございます。

応援ポチッ!!!
Commented by Lago at 2016-09-11 15:12 x
久しぶりのペルシア、やはりスケールが大きく見応えがありますね。
そして何時の時代、何れの国においても、権力者の最後の砦が大いなる墳墓。
ペルシアのこれは、ピラミッドのように人工的ではなく、自然の岩盤を利用した点が手柄ですね。
とても奇麗に残っていて、レリーフなど美しく、貴重に思います。
ペルシア文明の凄さの一端がここにも感じ取られます。
写真の撮り方が素晴らしく、規模の大きさ、またレリーフは細部に至るまで、臨場感いっぱいで、
その場に立って見るような興奮を覚えます。

巨大なる磨崖遺跡の王の墓自然利用の見事さ讃へん
Commented by youshow882hh at 2016-09-11 21:40
こんばんは。
ポチ♪
Commented by youshow882hh at 2016-09-12 19:50
こんばんは。
ポチ♪
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