模糊の旅人
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レンブラント【エルミタージュ美術館4】 ~ロシア二都物語(8)
2015年 12月 09日 |
オランダに憧れていたピョートル大帝は、1716年に17世紀のオランダ絵画を大量に購入しました。それ以来、伝統的にエルミタージュ美術館はフランドルやオランダの絵画を多く集めてきました。
中でも、レンブラントコレクションは世界屈指のもので、油彩に限っても24点あります。

「魂の画家」、「光と影の画家」レンブラントは世界中にファンが多く、ここは必見の場所です。以下、いくつかの代表的なレンブラントの名画を撮影しましたので、紹介します。

↓レンブラントの間
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レンブラントの間は、テントホールとも呼ばれており、部屋の天井装飾も見事なものです。レンブラントを中心としたオランダ絵画が展示されているのですが、この部屋自体が美しく優れた写真の被写体です。


↓『フローラに扮したサスキア』
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『フローラに扮したサスキア』は、若き日のレンブラントの代表作です。
28歳の時レンブラントは結婚し、花の神フローラに扮した新妻サスキアを描きました。
綿密に描かれたサスキアの衣装や髪飾りは見事なものです。

しかし、その後サスキアは一歳の子供ティトゥスを残してこの世を去ります。
そこから、レンブラントの苦難がはじまり、絵画は暗さと深みを増し、精神性を高めていくのです。


↓『天使たちのいる聖家族』
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↑この絵は、宗教的なテーマですが、オランダ風俗画のような親しみやすい雰囲気があります。
中央後方に仕事をしている義父ヨセフがうっすらと影絵のように描かれています。それに引きかえスポットライトのあたったマリアは若い母の心配げな表情でとても印象的です。ふっくらとした顔立ちは、上記のサスキアに似ているような気がします。
これは、サスキアの死という悲しみの後に書かれたそうで、彼が十分に味わえなかった家族の幸せを表現しようとしたと思われます。


↓『ダナエ』
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↑有名なアルゴスの王女ダナエの神話を題材にとった作品ですが、レンブラントには珍しい裸婦画で独特の表現に満ちています。
ダナエは画家によく描かれる題材で、多くの画家は忍び込むゼウスを黄金の雨で描くのですが、レンブラントは光によってそれを象徴しています。
右上の手枷をはめられ泣いているキューピッドの表情は、後にダナエが生む英雄ペルセウスがダナエの父を殺すという神託の悲劇を表しているのでしょうか・・・

X線解析によると、このダナエの顔は最初はふっくらとして亡き妻サスキアそっくりだったそうです。レンブラントはそれを修正したのです・・・・

なお、この作品は、1985年に、来館者のひとりによって硫酸をかけられ大きく損傷し、それ以来、エルミタージュ美術館では液体の持ち込みが禁止されました。
12年もかけて修復作業を行ったのですが、『ダナエ』は今でも完璧には復元できていません。


↓『十字架降下』
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↑キリスト受難シリーズのひとつで、多くの画家によって描かれてきたテーマですが、これもレンブラントらしい明暗の効果が主題の劇的な雰囲気を高めています。右側で失神している女性が母マリアです。
この絵は描写が実にリアルで、私は同テーマのルーベンスの誇張的作品より、こちらのレンブラント作品のほうが好きです。


↓『老人の肖像』
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↑レンブラントの肖像画も多く展示されていますので、そこから一作品。
光と影が交錯し、人生の年輪を感じさせる素晴らしい作品です。
レンブラントが晩年に描いた肖像画は老人のものが多いのです。なぜなら、老人の姿には、人間的な深みがあるからです。レンブラントは、それを晩年に追求し見事に描きあげました。
あくまで私の個人的な感想ですが、レンブラントの肖像画としてはこの『老人の肖像』が随一だと感じました。



↓『放蕩息子の帰還』
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↑新約聖書の逸話に題をとったレンブラントの遺言ともいえる大作です。
レンブラントの最後にして最高傑作とも言われています。
もはや細部にこだわらずテーマの本質に切り込み、絵の中に精神性を表現し尽くしているようです。

レンブラントは、晩年にサスキアの残した一人息子ティトゥスに先立たれてしまいます。
『放蕩息子の帰還』には、父と息子の印象的な姿があります。そこには、レンブラントが最後に描きたかった自分と息子の「魂の結びつき」が表現されているように思えました。


↓最後にレンブラントの人生と偉業に思いを馳せて、再度テントホール(レンブラントの間)をゆっくりまわり、スナップを一枚撮影しました。
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by mokonotabibito | 2015-12-09 08:10 | ロシア | Trackback(1) | Comments(7)
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Tracked from dezire_photo.. at 2016-02-04 16:07
タイトル : 画家の個性が凝集されたプラド美術館所蔵の小さな傑作の魅力
プラド美術館展Museo del Prado Exhibition マドリードのプラド美術館から小品を中心に100点を集めた「プラド美術館展」が東京の三菱一号館美術館で開催されました。プラド美術館には一度行きましたが膨大な数の名画あるため、有名な大作のみを集中的に見てきました。今回のプラド美術館展で来ていたのは、比較的規模の小さい作品ばかりですが、その中にも画家の個性が凝集された優れた作品もありましたので、特に強く印象に残った作品に注目してレポートしてみました。... more
Commented by youshow882hh at 2015-12-09 20:10
こんばんは。ゆーしょーです。
天井から部屋へ繋がる導入技法は素晴らしいのひと言です。
吸い込まれるようです。
美人短命と言いますが、レンブラントの妻サスキアも短命だったのですね。
ポチ♪
Commented by Lago at 2015-12-09 23:00 x
今日のレンブラントは、のっけから意表をつくテントホールですね。
このような様式の天井画は海外でも日本でも見られますが、
テント式なのがユニークなのですね。
レンブラントの作品はかなり見ている方ですが、若い頃は関心が持てなかったです。
唯一「ダナエ」には注目しました。ともかくギリシア神話お宅でしたから。
然し、歳を重ねる中に彼の画における宗教的モティーフの内面的な深淵や、
また自画像、年老いた人の肖像画の精神性にもそれなりの共感を覚えるようになりました。
単なる好き嫌いを超えて、訴えるものを持つ画家だと今は思っています。

黄金の雨に打たるる美しき裸身ダナエの運命(さだめ)おぞまし
Commented by youshow882hh at 2015-12-10 10:01
おはようございます。ゆーしょーです。
天気予報はよく当り、朝から曇天です。
昼から雨でしょうかね。
ポチ♪
Commented by Jupiter at 2015-12-10 11:02 x
立派なホールですね。
『天使たちのいる聖家族』の天使が、可愛いです。
のんびり美術館で絵画鑑賞なんて、
贅沢な時間でステキです。
私の今度、美術館に行ってみようかな^^
Commented by ろぼたん at 2015-12-10 21:20 x
迫力いっぱい!
美術館を訪れたような気持ちで鑑賞させていただきました♪
絵を撮るってなかなか難しいと思うのですが(人が入ってくる&照明などの影響で)
どれもステキですね。サスガ模糊さん!

そして今日アップされた たびねす「夢の超特急」記事、いいですね!
海外で特急列車に乗って出発するときのワクワク感が蘇りました!
この記事、ろぼたんの宿記事とお隣同士!(笑)

明後日のナビゲーターミーティング、参加してみようと思っています。
模糊さんは参加されないみたいですが、
どんな人がナビゲーターをされているのか、事務局の人はどんな人か、
コッソリのぞいてきます!
Commented by ろぼたん at 2015-12-10 21:27 x
記事、同じ日にアップになってますが
隣ではなかったですね…。(ろぼたんのパソコンが一瞬フリーズしただけでした)

ではでは、次の記事も楽しみにしています♪
Commented by youshow882hh at 2015-12-11 16:24
こんにちは。ゆーしょーです。
昨夜はものすごい風でしたね。
この風で街なかのイチョウも
かなり散りました。
ポチ♪
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