そこで私は、今回のベルギーでは、ブリュッセル北駅近くのビジネスホテルに滞在し、そこからベルギー各地に日帰り観光を繰り返しました。ブリュッセルに仮住いしているような気分でした。
この同一ホテル滞在方式にしたのは、大きな荷物を持って移動するのが嫌だったことが最大の理由です。ごく小さなバッグにカメラ一台だけを入れて、軽やかに、ゲント、ブルージュ、アントワープ、リェージュ、ナミュールといったベルギーの町を回りました。ブリュッセルからならIC特急利用で短時間に通えます。
↓ベルギーの主な町とその周辺の国々の地図
ベルギーの鉄道等の乗り方を教えてほしいという要望がありましたので、今日の記事ではそのへんを中心に、ゲント行を説明します。
海外旅では、ある程度現地情報の予習が必要で、特に交通手段だけは調べていく必要があります。
ベルギー国鉄は、インターネットで路線検索や切符購入(ネットチケット)もできます。
↓ベルギー国鉄のネットチケット購入ページ(英語版リンク)
ただ、ネットチケットでは日程が固定されてしまうので、私は、路線検索や時刻表の予習だけに利用し、切符は駅の窓口で購入しました。
今回の旅では、ゲント観光が最重要目的でしたので、晴れた日にゲントに行きたかったからです。ブリュッセル滞在中の晴れた日を選んで、二回もゲントに行きました。(北ヨーロッパの冬は、晴れた日が少ないのです)
また、ベルギー国鉄では、金曜夕から日曜深夜までは、往復切符を買えばウィークエンド割引ということで半額になります。ということで、週末は必ず国鉄往復切符利用で日帰り旅をしました(笑)
窓口で切符を買うには、「行き先」「往復切符」を告げればいいだけです。英語が通じますが、不安な方はメモ紙に「行き先」と「往復切符」であることを書いて窓口に出せば購入できます。
今回の例なら「ゲント Gent 往復切符 return ticket」で良いわけです。(日本人の発音で to Gent などど言うと、two Gent と勘違いされ切符が2枚出てくることがありますのでシンプルな表現が一番です)
↓私が購入した実際の切符(値段は50%オフで10ユーロでした)
切符を買ったら、そのまま駅のホームを探します。
ヨーロッパではほとんどがそうですが、ベルギーでも国鉄には改札口はありません。(地下鉄は改札口があります)
ブリュッセル北駅にはたくさんのホームがあるので、どのホームから自分の列車が出るのか把握することが大切です。
中央通路に電光表示板があるので、それで入線ホームを見つけねばなりません。
↓ホームを見つけたら、そこに上がり間違いないかホーム上の電光表示板で再確認します。
上の電光板の表示で、クノック行き、8:17分発、ICすなわちインターシティ特急、途中停車駅がゲント-セント-ピータース、ラルテ、ブルージュということが分かります。
ベルギー国内の場合、ICインターシティというのは座席予約できない特急列車で、日本で言えば快速にあたります。特急券は不要です。
ICなら、ブリュッセルからゲントへは30分強で行けますが、各駅停車なら一時間くらいかかりますので、あらかじめ時刻表で調べてIC利用で行くことをお勧めします。
↓ブリュッセル北駅ホームで待っていると、いろいろな列車が撮影できました。面白いです。
↓待っている5番ホームのスナップ (この日は土曜日ということで、通勤客はおらず身軽な感じの人が多かったですが、大きな荷物を持ったマドモアゼルも一人いらっしゃいました)
↓いよいよ私の乗る列車がやってきました。定刻どおりです。お、二階建て車両列車です!
↓意気揚々と目の前の列車ドアのボタンを押して(日本のように自動的には開きません)二階車両へ乗り込んだのですが、綺麗な座席で、異常にすいています、アレッ??
実はこの時、私はちょっとした間違いを犯していました。
発車後くつろいで車窓を楽しんでいると、優しそうな女性車掌さんが検札にやってきて、切符を見せると「シルヴプレ、(フランス語で)ここは一等車です、むこうの二等車に行ってください」とにっこり微笑みながら追い出されました・・・ああ恥ずかし・・・・Pardonne-moi!
↓てなことで、二等車に移ると結構混んでいました(大笑)
↓朝8時台というのに、外はまだ薄暗く、さすが高緯度の国だなあと思いながら、ゲントまでの田舎の車窓風景を楽しみました。
車内放送は(ベルギー北部はオランダ語圏なので)オランダ語だけなので、私にはさっぱり分かりません。
そこで、車内前方上部に表示される電光掲示に注意しておく必要があります(まあゲントの場合はブリュッセルを出て最初の大きな町なので車窓景色でも分かりますが)
↓ということで、9時頃、無事にゲントのセントピータース駅に到着しました。
↓ゲントのセントピータース駅の天井です。なかなか見事でした。
次回の「フランドル紀行」は、ゲントでのトラムの乗り方を載せる予定ですが、写真展が明後日に迫っていますので掲載は来週後半になるかも知れません。
<追記> (2014-12-12 22:58)
記事内容について、いくつか御質問を受けましたが、写真展開催中で個々に詳しくお答えする余裕がありませんので、以下まとめて回答させていただきます。
(1)電車のペイントについて
5枚めの列車のペイントは、落書きです。
ヨーロッパでは、結構落書列車が見られ、まだベルギーは落書きが少ないほうで、イタリアでは特に多かった思い出があります。(最近はイタリアに行っていないので改善されているかも知れません)
(2)オランダ語圏とフランス語圏について
ベルギーでは現在もオランダ語圏とフランス語圏の対立はまだあります。ブリュッセルは両語の併用区域ですが、列車内の電光表示や車内放送も、ブリュッセルを出て北部に行くとオランダ語単独になり、南部に行くとフランス語単独になります。ブリュッセルでは両語表示しているので技術的・能力的な問題ではなく、主義・考え方の問題であるようです。境界の国ベルギーの長い歴史的事情があります。詳しくは後日書くつもりです。
(3)ゲントの発音について
「ゲント」は英語とドイツ語の発音で、オランダ語では「ヘント」でフランス語では「ガン」です。現地はオランダ語圏なので、「ヘント」というのが正しい表現だとは思いますが、「ゲント」という英語表現が日本では一般的で、旅行案内書にも「ゲント」と載っていますので、あえて「ゲント」としました。(「ゲント」を「ヘント」とするなら「ブルージュ」も「ブルッヘ」とすべきです。)駅の切符購入などでは「ゲント」で通じました。
(4)治安について
ブリュッセルはヨーロッパ(EU)の首都であり、大都会ですので、いささか治安の悪い区域もあります。夜間に、大きな荷物を転がして長時間の単独行動をするのはなるべく避けるほうが良いです。今回、私がごく小さなバッグひとつで軽やかに行動したのは、そういう理由もあります。
(5)ブリュッセルの中央駅・南駅について
説明不足でしたが、ブリュッセル北駅から出るゲント・ブリュージュ方面行きIC特急は、必ずブリュッセル中央駅と南駅にも止まります。三つとも大きな駅です。パリと違ってブリュッセルは、北・中央・南駅が国鉄路線としてつながっているのが便利なところです。
(6)blankengergeについて
これも説明不足でしたが、電光表示板の「blankengerge」というのは、「ブランケンベルヘ」という町のことです。クノックとブランケンベルヘは両方とも北海に面した町で、夏には賑わう海辺リゾートとして人気があります。このIC特急は、ブルージュを出ると、二つに切り離されて、終点はクノックとブランケンベルヘの二つになるので、電光表示板のような表示になります。
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今回はヨーロッパだったのですねっ!
いいですねぇ。
ベルギーと聞くと、スイーツ好きな私はチョコレートが真っ先に浮かんでしまいます(笑)
車窓からの景色は、本当に素敵でヨーロッパらしいなと思います。
列車の絵はちょっとして落書きですか?
日本だとニュースになって、鉄道会社がすぐに消してしまいそうですけど
海外は違うんでしょうか^^;
懐が広いんですね(笑)
語学が堪能でヨーロッパに詳しい男の自由な一人旅・・・。羨望の的ですね。
ヨーロッパツアー中、英語すら出来ないのに一人で旅している若い女性に何回か遭遇しましたが、昔育ちの私には絶対考えられない話。こんな時ばかりは男性はいいなぁと思ったもの。
模糊さんとて、長年の旅の修練あってこその今の自在さを得たのでしょうけれど。
鉄道の乗り方だって、添乗員でさえ最も神経をとがらせていました。日本の鉄道は世界一。イタリアなど、発車15分前まで入線ホームが決まらない事があるのですから。表示板を探し、読むのさえ緊張を強いられる。ブリュッセルは大都会だからいいけど、模糊さんは万事余裕綽々で頼もしい。一等車のミステイクなど、むしろ嬉しい話。
そして目的の奔放にして悠々たるカメラワーク・・・。嘗て訪れたベルギー・オランダですが、模糊さんならではの未知の世界の展開を期待しています。
国のほぼ中央ブリュッセルから放射状に鉄道があるのですね。
それなら模糊さん方式がいいですね。
列車の外観はカラフルで内部は豪華です。
このような列車で旅すればホントに楽しいです。
ポチ♪
ブリュッセル北駅を基地にされたようですが、ICは途中停車駅がゲント、ラルテ、ブルージュとのことで、ブリュッセルの中央駅や南駅には止まらないのでのでしょうか?自分は観光スポットに近い中央駅の近くにホテルを取ろうと思っていました。
それからホームの電光掲示のクノックの下のblankengergeというのはなんでしょうか?
今日は久々にお会いできて嬉しかったです♪
旅話も聞けて、また刺激になりました。
電車のお話も面白かったです^^
車窓の景色の写真もとってもいいですね!
こういう郊外の景色はフォトジェニックですね^^
疑問が氷解し納得しました。本当に助かります。ゲントのトラムの話とかも楽しみにしています。
とても多忙な方のようなので無理せずゆっくりで良いですからこのシリーズを展開してください。お願いします。