模糊の旅人
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2017年 01月 16日 |
フランクフルト教会めぐりシリーズは、今日は寄り道して、教会の映るマイン川風景や野鳥写真をおおくりします。


フランクルフルトは正式名を「フランクフルト・アム・マイン (Frankfurt am Main) 」といい、由来は「フランク族のマイン川渡渉点」という意味から来ています

現在も、旧市街の南側すぐのマイン川には、浅い場所があり、なるほどフランク族がここを昔に渡ったのかと思わせます。それがマイン川の中州原生林で、そこは人が入れないので、野鳥の楽園となっています。

私はマイン川南側に宿をとったこともあり、毎朝このあたりを散策し、野鳥観察をしてから旧市街に通いました。


↓マイン川南側の遊歩道から見た中州ですが、川向う(北側)に バルトロメウス大聖堂(カイザードーム) が美しく見えます。
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↓遊歩道から西側を見た早朝風景。奥にフランクフルトの現代的な摩天楼が聳え、その手前に歩行者専用のアイゼルナー小橋が架かっています。
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↑空には大きな鳥が飛んでおり、右側に写っている中州に舞い降りてきました。それが以下に大きく掲載しますエジプトガンです!


↓上の写真とちょうど逆にアイゼルナー小橋から、中州原生林方面を撮った写真です。
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↑この写真は たびねす記事 のサムネイル画像として掲載したものですが、この場所はフランクフルト随一のフォトスポットです。
右側の大きな教会がドライケーニヒ教会で、中央奥に小さく天辺が写っているのがドイツ騎士団教会です。そして、左側の岸辺の森のように見えるのが中州原生林です。


この中州原生林には多くの野鳥が棲息し、マイン川南側遊歩道からでも、じゅうぶんに観察できます。
ハクチョウ、エジプトガン、カナダガン、マガモ、カワウ、カイツブリ、ズグロカモメなど、たくさんの種類が見られました。

中でもエジプトガンは、日本では見られないので、いろいろ撮影してみました。

エジプトガンは大きな鴨という感じで、眼の周辺が特徴的です。元は名前のとおりアフリカの野生種でしたが、最近はヨーロッパに進出しています。警戒心が弱いのか、誰も野鳥を襲わないからか、人が近づいても逃げないので、じっくり撮影できました。

以下、6枚、川辺のエジプトガンの写真をお楽しみください。
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↓カップルが寄り添っています。
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↓羽を少し広げた瞬間ですが、なかなか綺麗です。
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↓大きさが分かりにくいので、最後に白鳥と一緒に写った写真も掲載しておきます。
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フランクフルトの中心を流れるマイン川の河畔で、このような野鳥の楽園があることは思ってもみなかったので嬉しかったです。大都会の真ん中にあるオアシスですね。


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2017年 01月 12日 |
「たびねす」に、私の「アムステルダム国立美術館の記事」が掲載されました。
収蔵品が素晴らしく見学するにもちょうど良い大きさの美術館ですので、とても楽しめます。
また、今回の記事は「たびねす」の仕様変更に伴い、はじめて絵画など15枚の写真をアップしていますので、結構、見ごたえがあると思います。ぜひ、この紹介記事をご覧ください。
どうぞよろしくお願いします。

(41)美の殿堂!オランダ・アムステルダム国立美術館を完全制覇
http://guide.travel.co.jp/article/23758/






当ブログでも、たびねす記事とタイアップして「アムステルダム国立美術館」を、より詳しく紹介させていただきます。


今日は、アムステルダム国立美術館の(私にとっての)目玉というか、一番感動した絵画一枚とその画家を紹介します。
それは、クリヴェッリ(兄)の『マグダラのマリア』です。

↓暗い展示場所でしたが私が気合を入れて撮影したカルロ・クリヴェッリ『マグダラのマリア』(手持ち撮影)
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どうです、美しいと思いませんか?
私はこの絵の前に立って、あまりの素晴らしさに、30分ほど動けませんでした・・・・
感動の発見。新たな出会い:ドキドキわくわくが生まれた瞬間でした。


この絵はさほど有名ではなく、作者のカルロ・クリヴェッリに至っては、日本ではほとんど知られていません。私も昔は知らない画家でした。
『マグダラのマリア』は、前評判や評論家のオススメではなく、あくまで私が自分自身の目で見て衝撃を受けた作品です。


この絵のほうは、全く知らなかったわけではありません。
以前、澁澤龍彦の著作で読んだ記憶があり、最近はキリスト教史を勉強していく過程で、岡田温司『マグダラのマリア―エロスとアガペーの聖女 (中公新書)』の図番で見たことがありました。小さな図番でしたが、とても印象に残り気になる絵でしたので、アムステルダム国立美術館に行く際は、有名画家の主要作品を見た後で探してみようと、裏の目的として心に秘めていました。

そこで、家にある『世界の美術館34』(15年前に購入したもの)のアムステルダム国立美術館の紹介をあらかじめ読んでおきました。

↓『世界の美術館34』
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↓『世界の美術館34』の展示場所紹介ページ(右下に『マグダラのマリア』の小さな図番があり2階が示されていますね)
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オランダに着き、アムステルダム国立美術館の2階の現場で、まずは、この美術館の看板作品であるレンブラントの『夜警』やフェルメールの『牛乳を注ぐ女』などの名作を存分に堪能してから、『マグダラのマリア』を探しました。

アムステルダム国立美術館は、ルーヴル美術館やエルミタージュ美術館に比べると単純な構造で、見やすい配置になっています。それにもかかわらず2階のどこを探しても『マグダラのマリア』は見つかりません・・・2階全部屋全作品を確認しましたが、ありません・・・うーん、困った。

この美術館は大きくリニューアルされており上記の『世界の美術館34』の展示場所紹介ページは全く役に立ちません。予想外でした。

グランドフロア入り口でゲットした日本語フロアガイドでも、『マグダラのマリア』は載っていません。

↓日本語フロアガイド
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ひょっとして常設展示ではなくなってしまったのでは・・・と不安に思い、尋ねてみることにしました。
美術館の監視員は各部屋にいるのですが、その監視の仕事を中断させるのは気が引けます。それに監視員に英語が通じるかどうか分かりません。

そこで、0階グランドフロアまで降りてチケット売り場で聞こうと考え、2階廊下に出ました。するとそこに、名札をつけた親切そうな中年男性の美術館員が立っています。そこで、思い切って下手な英語で聞いてみました。

「 Excuse me. Where is St Mary Magdalene, painted by Carlo Crivelli? 」

するとそのおじさんは、にこやかにうなずいて、「 Zero floor! ground floor 」と教えてくれました。つまり0階にあるということです。良かった。
その学芸員風おじさんにお礼を言って、さっそく0階に降りて探しました。


0階は出入り口のある階でカフェやショップががあるため、展示室が大きく東西に分かれています。その西北隅に行くと祭壇画が多く飾られたコーナーがあり、この辺だなと直感しました。

↓祭壇画コーナー
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祭壇画コーナーの中央にはフラ・アンジェリコの素敵な聖母子像があります。その部屋の角を出ようとすると、まさにその出口にありました『マグダラのマリア』!!

やっとご対面です。
いやあ素晴らしい。思ったより大きく、まさに等身大です。

ビザンティン美術風の流れを汲む精緻な豪華さと、まるでアールヌーヴォーと見紛う装飾的な画風は、華麗で品格もあり、「美しい」という表現がピッタリです。

期待以上の見事な作品で、私は、しばらく呆然として立ち尽くしました。(このフロアはすいていて、ほとんど誰も見ていません)
自分の眼で確かめ、納得するまで絵を見てから、気持ちを込めて撮影したのがこの記事最初の写真です。

暗いので失敗ないよう何枚か撮りました。(この美術館はフラッシュと三脚を使わなければ写真撮影可ですが、暗い展示が多いので手ぶれしやすくカメラマンの技術が問われます)

↓ナナメ横から、少し引いた展示風景も撮影(展示版の左裏に人影が写っているので絵の大きさが分かりますね)
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↓上半身を拡大撮影・・・色合いの再現が難しいです。記憶色という意味では、記事最初の全体写真のほうが本物に近いと思います。
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右手はマグダラのマリアのアトリビュートである香油壺を掲げています。手が大きく描かれておりマニエリスム的誇張のようですが、とても印象的でモダンな感覚を感じさせるものとなっています。
この写真の色再現には微妙に自信がありませんが、造形の秀逸さと、きわめて精緻に描かれていいることはお分かりになると思います。

↓さらに顔の付近を拡大
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これは良い画家を発見したと思い、アムステルダムを出た後、フランクフルトにしばらく滞在したおりに、シュテーデル絵画館で、クリヴェッリの祭壇画2点を見て、これも良いなあと感じました。

それから、カルロ・クリヴェッリについていろいろ調べてみました。
しかし、マイナーな画家なので、なかなか情報がありません。


何より、この『マグダラのマリア』が、祭壇画として書かれたものかどうかが判然としません。

インターネットで調べると、クリヴェッリのファンという方のサイトを見つけました。それが、cucciolaさんの 「ルネサンスのセレブたち」というブログ です。イタリア在住の主婦の方で、イタリア語の本を読んでクリヴェッリいついて勉強されているようです。すごいですね。

そこで、メールで連絡をとり、『マグダラのマリア』が祭壇画なのかどうかを質問してみました。
すると、親切に以下の回答をいただきました。

マグダラのマリアは「祭壇画の一部であったという説は現在はほぼ否定されています。というのも、クリヴェッリは自分のサインを、祭壇画を描く際には、中央の聖母子像に書くのが通常であり、祭壇画の脇を飾る聖人にサインすることはなかったそうです。ところが、この『マグダラのマリア』にはしっかり、『OPVS KAROLI CRIVELLI VENETI』のサインが向かって右下に入っています。そのため、単独の作品として描かれたのではというのが通説です。」

わざわざ詳しい返答をいただき、有難いことです。cucciolaさんにおかれましては、この場をお借りしまして深く御礼申し上げます。


この『マグダラのマリア』という絵は、マグダラのマリアを深く信仰していた貴族の依頼で描かれた単独の絵なんですね。祭壇画ではないからこそ、クリヴェッリは、ここまで大胆に思い切り艶やかに描いたのかもしれません・・・


クリヴェッリの絵では、聖母マリアはきわめて真面目な愁いを含んだ厳粛な雰囲気で描かれているのですが、マグダラのマリアは華麗で美しく魅力的に描かれています。

厳粛な聖母マリア祭壇画の例
↓『ろうそくの聖母』(ミラノのブレラ美術館蔵・・・元はカメリーノ聖堂多翼祭壇画の中央部パネル)
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華麗なマグダラのマリア祭壇画の例
↓『モンテフィオーレ三連祭壇画のマグダラのマリア』(元は聖フランチェスコ教会の21面パネル多翼祭壇画の中段最右翼端部)
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聖母マリアに代表されるようにクリヴェッリの描く聖人たちは、どれも哀しみの想いを漂わせています。しかし、マグダラのマリアだけは、違うのです。
アムステルダム国立美術館の『マグダラのマリア』は、つんとすましたような表情で、『モンテフィオーレ三連祭壇画のマグダラのマリア』は、まるで妖しく微笑んでいるように見えます。どちらの作品も顔といい所作といい、とても魅惑的な描き方です。


なぜ、マグダラのマリアだけは、こんなに雰囲気が違うのでしょうか?


以下は私の独自の解釈です。

あくまで勝手な独断的私見ですが、マグダラのマリアはクリヴェッリの愛した(ヴェネツィア追放の原因となった)女性がモデルではないかと想像します。
二度と故郷のヴェネツィアに戻らず、マルケ地方の田舎に埋もれてひたすら真面目に宗教画を描き続けたクリヴェッリですが、マグダラのマリアだけには生涯忘れ得ない愛する女性の面影を反映させたのではないでしょうか。





次に、クリヴェッリに関する本を紹介しておきます。

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日本で最初にクリヴェッリを本格的に紹介したのは、澁澤龍彦で、彼は美術評論の本の随所にマグダラのマリアについて書いていますが、残念ながらクリヴェッリ専門の本は書いていません。そこで一例として、少しだけ短文を紹介します。


・・・・アムステルダムの「マグダラのマリア」を見てもお分かりのように、髪の毛の束になってうねった、額のひろい、眉毛のほそい、鼻の先のとがった女の顔には、いうにいわれぬ冷たい知的な気取どりがあって、私たち現代人にも強く訴えかけてくる要素がある。・・・・

                        『西欧芸術論集成(上)』澁澤龍彦(河出文庫)より


澁澤龍彦は、クリヴェッリの描いた顔は男であれ女であれ「独特の精神性をあらわしていて、すばらしく美しい」と述べています。 
余談ですが、澁澤龍彦は、私の好きなクラーナハ(クラナッハ)も愛好しており、いろいろ書いておられます。また、最近巷で人気の伊藤若冲については、はるか昔から評価しておられました。その優れた慧眼には驚かされるばかりです。

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ピエタ研究家の塚本博の著作にもクリヴェッリに言及されたものが少しあります。今後の塚本先生の著作を期待したいです。ほんのちょっとだけ短文を紹介。


・・・・彼が創造した聖母マリアやマグダラのマリアは、現代にも通じるようなモダンで洗練された女性像である。・・・・

                        『すぐわかる作家別ルネサンスの美術』塚本博(東京美術)より

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クリヴェッリ専門の日本語の本としては、以下の三冊があります。御興味のある方は参考にしてください。


(1)『カルロ・クリヴェッリ画集』 吉澤京子 (ピナコテーカ・トレヴィル・シリーズ) 
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↑この本は絶版で、トレヴィル社も倒産して古本で稀にしか手に入りません。しかも稀少本として値段が跳ね上がっています。いつも私の利用する自治体の図書館には所蔵されていないので、今後、大きな図書館で探ってみることにします。



(2)『カルロ・クリヴェッリ―マルケに埋もれた祭壇画の詩人』  石井曉子 (2008/9 講談社出版サービスセンター)
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↑これは、まだ十分に流通しているので、さっそく買って熟読しました。

この本は、基本的に「旅行記プラス研究まとめ」という感じですが、クリヴェッリに出会い研究していくことになった著者の情熱が感じられる本で好感が持てました。著者の人生も感じさせます。ただ、『マグダラのマリア』についてはほとんど書かれていないのが残念でした。

クリヴェッリについての詳しい年譜や全作品一覧表・用語解説もあるので、クリヴェッリ入門に最適な本として、おすすめします。



(3)『カルロ・クリヴェッリの祭壇画』 石井曉子 (2013/2 講談社ビジネスパートナーズ)
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↑この本は購入予約し取り寄せ手配中です。(2)と同じ著者になるもので、世界中の美術館にバラバラに散らばったクリヴェッリ祭壇画の元の姿を誌上で復元する試みなどがあるようです。読むのを楽しみにしています。



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現在(1月15日まで)、大阪の国立国際美術館で「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」というのをやっています。カルパッチョ、ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼといったヴェネツィア派の画家たちの作品がメインですが、クリヴェッリの作品も2点展示されています。
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ただし、この展覧会のクリヴェッリ作品は、ヴェネツィアのアカデミア美術館所蔵の『聖セバスティアヌス』と『福者ヤコポ・デッラ・マルカ』で、少し変わった絵たちです。特に『聖セバスティアヌス』に至っては身体に何本もの矢がささって死にかけているという残酷なもので、(聖セバスティアヌスの絵としては当たり前なのですが)キリスト教史に興味のない方にとっては薄気味悪い作品でしょう。
この二作でクリヴェッリに初対面する人が多そうなのは、ちょっと残念な気がします・・・・クリヴェッリの魅力は、なんといっても、愁いを含んだ聖母マリアと、華麗なマグダラのマリアなんですから・・・・

この展覧会のくわしい感想については、後日、ブログでアップする予定です。

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以上、少しでもクリヴェッリのファンが増えて、クラーナハや伊藤若冲のように盛り上がってほしいと、いろいろ書いてみました。





カルロ・クリヴェッリさん、よくぞ素敵な絵を残してくれました。ありがとう!

私は、単なる評判に頼ることなく、自分の目で発見し、感じたことを大事にしたいと思っています。
ロシアのエルミタージュ美術館では、 クラーナハの 『林檎の木の下の聖母子』 に出会いましたし、今回のアムステルダム国立美術館では、クリヴェッリの『マグダラのマリア』に感動しました。



まだまだ世界には、ドキドキわくわく、意外な、ときめきの出会いと発見がありますね!
これだから、旅はやめられません。



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